プーチン氏、停戦に前向きも合意は確約せず-トランプ氏との協議望む

ロシアのプーチン大統領は、ウクライナでの停戦案についてトランプ米大統領との話し合いを望む一方、停戦するのであれば戦争の長期解決につながる必要があると警告した。

  プーチン氏は13日、モスクワでの記者会見で「考え自体は正しく、われわれが支持しているのも確かだが、話し合うべき問題がある」と述べ、「この件については米国およびパートナー諸国と協議する必要がある。おそらくトランプ大統領と電話で話し合うべきだろう。われわれは平和的な手段でこの紛争を終わらせるという考えを支持する」と言明した。

  同氏の曖昧な発言に対し、トランプ氏は楽観的な見方だ。ルッテ北大西洋条約機構(NATO)事務総長の訪問に際して米ホワイトハウスで記者団に対しトランプ氏は、「ロシアでは順調に事が運んでいるという情報を得ている」と語った。その上で、「最終的な結果を聞くまでは、何の意味もない」として、ロシアが停戦案に合意しなければ「世界にとって非常に残念な瞬間となるだろう」とも述べた。

  米国はウクライナと最終的な合意の枠組みを話し始めた、ともトランプ氏は主張。これには維持する領土と失う領土、大規模な発電所をどちらが維持するのかなども含まれるとし、「簡単なプロセスではない」と語った。この発電所が何を指すのかトランプ氏は明示しなかったが、欧州最大の原子力発電所であるザポリージャ原発をロシア軍は戦争の早い段階から占拠している。

  プーチン氏は、13日に予定されている米国のウィットコフ中東担当特使との協議に先立ち発言した。ウクライナが受け入れ可能とする30日間の停戦案について、米国はロシアも同意するよう説得したい考えだ。

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  プーチン氏は「われわれは敵対行為を停止する提案には同意するが、停戦は長期的な平和と、この危機の原因除去につながるものでなければならないとの考えが出発点になる」と述べ、停戦なら約2000キロに及ぶ前線の「監視と確認を巡る問題が生じるだろう」との考えを示した。

  ロシア国営タス通信によると、ロシアのウシャコフ大統領補佐官(外交政策担当)は、プーチン、トランプ両氏の電話会談は13日には予定されていないと述べた。

  一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は国民向けの夜の演説で、「停戦の構想に対し、かなり予測可能で非常に操作的なプーチン大統領の発言が先ほどロシアから伝わってきた。実際に彼は現時点で拒否する準備をしている」と発言。「プーチン大統領はこの戦争を継続しウクライナ人を殺したいとトランプ大統領に直接伝えることにはさすがに及び腰だ」と述べた。

  戦況はロシア軍にますます有利な情勢にある。米国の評価に詳しい関係者によると、ウクライナ軍は1週間以内にもロシア西部クルスク州からの完全撤退を余儀なくされる可能性が高い。

  ウクライナ軍は昨秋、ロシアとの交渉カードに利用できると期待してしてクルスク州に越境攻撃したが、ロシア軍は占拠された地域の奪還を着実に進めてきた。

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対ロシア停戦、開始前に前線監視と「平穏」の期間必要-ゼレンスキー氏

原題:Putin Stops Short of Endorsing Immediate Ukraine Ceasefire (3)(抜粋)

(8段落目以降にゼレンスキー氏の発言などを追加して更新します)

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