【米国市況】S&P500ほぼ横ばい、日中は値動き大きく-144円近辺
30日の米株式市場でS&P500種株価指数はほぼ変わらず。中国が米国との「合意に違反した」とトランプ大統領が主張したほか、トランプ政権が中国のテクノロジー業界に対する制裁を拡大する計画だとの報道を受け、日中は総じて軟調に推移。一時は1.2%安となった。ただ午後にトランプ氏が、中国の習近平国家主席と会談する見通しだと述べたことに反応し、下げをほぼ埋めた。
株式 終値 前営業日比 変化率 S&P500種株価指数 5911.69 -0.48 -0.01% ダウ工業株30種平均 42270.07 54.34 0.13% ナスダック総合指数 19113.77 -62.10 -0.32%S&P500種は月間ベースで上昇し、5月としては1990年以来の大幅高となった。
ベルウェザー・ウェルスのクラーク・ベリン氏は「市場は今後も、特に関税関連の報道に左右されるとわれわれはみている」と指摘。「貿易に関する見通しがより明瞭になるにつれて、企業業績やファンダメンタルズといった従来の要素が投資家心理や株価の方向性を左右する主な材料になるだろう」と述べた。
22Vリサーチのデニス・デブシェール氏は「トランプ氏が交渉で利用し得る関税などの手段を巡り、次に何が起こるか分からないという不確実性は高い」とし、「不確実性の高まりがリスク資産にとって逆風になると、われわれは考えている」と語った。
ネーションワイドのマーク・ハケット氏は「相場の回復の速さや消費者信頼感の変化を踏まえると、なお予測困難な時期にあるということを忘れず、油断しないことが極めて重要だ。今回のサイクルでは、逆張りが最も有効な投資戦略になっている」と述べた。
米国債
米国債相場も値動きの大きな展開となった。4月の米個人消費支出(PCE)統計では、個人所得が市場予想を上回る伸びとなった一方、PCE価格指数はほぼ予想通りとなった。その後は、米中の貿易関係が意識された。
国債 直近値 前営業日比(bp) 変化率 米30年債利回り 4.92% 0.7 0.14% 米10年債利回り 4.40% -2.2 -0.49% 米2年債利回り 3.90% -4.3 -1.10% 米東部時間 16時43分為替
外国為替市場ではドルが小幅高。米国の関税政策を巡る不確実性や強弱まちまちな経済データが意識された。ブルームバーグ・ドル・スポット指数は、月間ベースでは0.6%下げた。
為替 直近値 前営業日比 変化率 ブルームバーグ・ドル指数 1215.99 0.89 0.07% ドル/円 ¥144.00 -¥0.21 -0.15% ユーロ/ドル $1.1346 -$0.0024 -0.21% 米東部時間 16時43分円はこの日、対ドルで上昇。朝方に143円40銭台に上げを拡大した後、下落に転じて一時144円40銭台となる場面もあったが、その後再び反転した。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)のストラテジスト、アタナシオス・バンバキディス、クラウディオ・パイロン両氏はリポートで、「今夏に発表される米経済データがドルにとって最終的な判断材料になると考えている。米経済が脅威的な強さを維持すれば、投資家は政策に関するノイズを無視して米国資産を再び買い始め、それがドルを支えるだろう。米国例外主義が復活するということだ」と分析。一方で、「米経済が適切な着地となった場合は、ドルはさらに下落し年初来安値を更新すると、われわれは予想している」と記した。
原油
ニューヨーク原油相場は続落。米中間の貿易協議の現状を巡るさまざまな情報を消化する中、荒い値動きとなり値幅は約2ドルに達したが、結局は小幅安で引けた。
トランプ政権は中国のテクノロジー業界に対する制裁を拡大する計画だと、関係者は述べた。トランプ氏はこれより先、中国が貿易に関する米国との「合意に違反した」と主張し、米中間の緊張が再び高まった。その後、トランプ氏は中国の習近平国家主席と会談したい意向を示した。
石油輸出国機構(OPEC)と非加盟の産油国で構成するOPECプラスは7月の原油生産引き上げについて、31日に開くオンライン会合で、日量41万1000バレルを超えるペースに加速させることを検討する。事情に詳しい関係者が明らかにした。予想を上回るペースで生産引き上げが進んでおり、年内に市場が供給過剰になるとの観測が強まった。
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フランチェスコ・マルトチャ氏らシティグループのアナリストは、「世界の原油市場の需給はやや緩んだ状態が続いており、年末に向けて格段と緩むはずだ。非OPEC産の供給増加や、比較的小幅ながらも持続的な在庫増加が理由だ」と指摘。現物市場の需給環境が軟化しつつある中で、ロシアやイランなどの地政学リスクは引き続き価格の下支え要因になっていると付け加えた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物7月限は、前日比15セント(0.25%)安い1バレル=60.79ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント7月限は0.4%下げて63.90ドル。7月限はこの日が最終取引日となった。8月限は0.9%安の62.78ドル。
金
金スポット相場は反落。この日発表された米経済指標を受けて、年後半まで利下げは必要ないとの見方が強まった。
このシナリオは金にとってマイナスとなる。金は金利低下の環境で恩恵を受ける傾向がある。
金は週間ベースでは約2%下落。前週は5%近く上昇していた。
オアンダ・アジア・パシフィックのシニアアナリスト、ケルビン・ウォン氏は、テクニカル要因も金価格の下落に影響していると指摘。「金は重要な短期の抵抗線である3328ドルを2度にわたって上抜けられなかった」と述べた。
金スポット価格はニューヨーク時間午後2時47分現在、前日比23.10ドル(0.7%)安の1オンス=3294.84ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物8月限は、前日比28.50ドル(0.85%)安の3315.40ドルで引けた。
原題:Volatility Grips S&P at End of Best May Since ‘90: Markets Wrap(抜粋)
S&P 500 Falls at End of Stellar May on Trade Worry: Markets Wrap
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CORRECT: Dollar Extends Weekly Gain After US Data: Inside G-10
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Gold Slips as Dollar Edges Higher Amid US Data, Trade Tensions