【兵士が足りない韓国】80代が志願、女性徴兵も視野に…少子化が突きつけた「国防崩壊」の現実(ダイヤモンド・オンライン)
現在韓国の合計特殊出生率は0.75と、世界最悪レベルにまで落ち込んでいる。若年人口が急速に減るなか、もっとも深刻なのが兵士不足だ。それを補うべく、シニア有志が義勇軍を結成。女性の徴兵も視野に入ってくるのではないかと囁かれる。決して他人事ではない、人口減少国家が抱える国防の問題とは?※本稿は、ノンフィクション作家の菅野朋子『韓国消滅の危機 人口激減社会のリアル』(KADOKAWA)の一部を抜粋・編集したものです。 【この記事の画像を見る】 ● 80代でも国のために戦おうと シニアアーミーを結成 兵役数が減少していることに危機感を覚えて自ら組織を立ち上げた人たちがいる。 下は20歳から上は86歳まで。有志の民間人が集まって、2023年6月に設立された「社団法人シニアアーミー」だ。国防省から設立許可もとっている。 ホームページの背景は「戦争博物館」で、そこには「When country calls, We serve(国が呼べばわれわれは身を捧げる)」と書かれている。 事務所はソウル市内にあるマンションの一室。訪ねた時は代表が迎えてくれた。何か仕事がある時にだけ使われており、スタッフは常駐していないという。 設立の中心となった尹承模代表(65歳)は、もともと新聞記者だった。出生数が40万人を大きく割った18年頃から人口問題に関心を持つようになり、それがシニアアーミーを立ち上げるきっかけになったと話す。 「私たちの頃は、生まれてくる子どもは年に100万人という時代でしたから、2018年に出生数が30万人そこそこまで落ちた時には愕然としました。これで国が成り立つのだろうかという思いもよぎって人口問題に関心を持つようになりましたが、そこへ起きたのが、ウクライナの事態でした」 この時、「予備軍」の重要性をひしと感じたという。
「韓国でもし戦争が起きたら、兵士がいない。ロシアでは兵士が不足して囚人まで動員したでしょう。AIやドローン戦といってもそれを扱う人材がいないわけです。援軍として出征した北朝鮮には兵士が130万人近くいると伝えられています。 韓国でもしウクライナと同じような事態が起きてしまったら、どうなるのか。そんなことを友人らと話していましたが、ただ心配ばかりしていても意味はない。直接できることから始めようと話がまとまって、シニアアーミーを立ち上げることになりました」 予備軍とは、除隊後6〜8年間所属するもので、年に数回招集され、訓練に参加することが義務づけられている。招集期間は半日から3日間ほどで、勤めている場合は休暇扱いとなる。海外居住の場合は自動的に免除される。 予備軍の後は満40歳まで「民防衛隊」に所属し、年に1度簡単な訓練を受ける。防災活動など地域住民の安全確保や、有事の際の人命救助といった支援を行うことが主な任務とされている。こういった話を聞くと、韓国が休戦状態であることを改めて認識させられる。 ● 強い危機感を持った男女 3000人がシニアアーミーに シニアアーミーの会員は男女合わせて3000人ほどだそうだ。加入条件は「韓国のために戦う意志がある人」で、他には軍務の経験など特別な条件はない。そのため、兵役経験はないが学びたいという20代男性に加え、女性も全体の2〜3%ほどいるという。訓練は1年に1〜2回行っていて、国防省の協力も得て、模擬訓練など予備軍と同じような内容を行う。 「登山ができる人ならば何も難しい訓練ではありません。特殊部隊の訓練とは違いますから。私たちの世代はみな健康に気を遣っていて体力もある人が多い。 大事なことは、意志を持ってシニアアーミーに参加していることです。これが戦争の抑止力につながる。予備軍と同じように、もし戦争が起きればもちろん参加します」 活動の運営費は1人3万ウォン(約3000円)の年会費のみ。足りない分は尹代表らが自腹で補っているという。