米中通商協議、レアアース規制解消で一致 包括合意なお見えず

 6月10日、ラトニック米商務長官は、ロンドンで2日間にわたって行った米中通商協議を受け、両国が合意した貿易の枠組みと実施計画で希土類(レアアース)や磁石への規制が解消されるはずだと述べた。同日、ロンドンで撮影(2025年 ロイター/Toby Melville)

[ロンドン 11日 ロイター] - ラトニック米商務長官は10日、ロンドンで2日間にわたって行った米中通商協議を受け、中国のレアアース(希土類)輸出規制を解消する枠組みで合意したと発表したが、両国間の対立が永続的に解決される兆しはほとんど見られなかった。

枠組みを持ち帰ってトランプ大統領が承認すれば、新たな合意が実施されるだろうと記者団に語った。協議はロンドン時間の深夜ごろに終了した。

ラトニック氏はこの枠組みについて、報復関税の引き下げに向け米中がスイスのジュネーブで先月合意した内容に「肉付け」するものだと説明。この合意により、最近導入された米国の輸出規制の一部も撤廃されると述べた。

「われわれはジュネーブでの合意と米中首脳の電話会談(での合意)を実施するための枠組みで合意に達した。トランプ大統領に持ち帰り、承認を得る考えだ。承認されれば、その枠組みを実施することになる」と語ったが、詳細は明らかにしなかった。

中国の李成鋼商務次官も別の記者会見で、両国の交渉担当者が貿易に関する枠組みで合意したとし、それぞれの首脳に報告すると述べた。

「双方は6月5日の両首脳の電話会談での合意とジュネーブ会談での合意を実施するための枠組みで原則合意した」と語った。

ラトニック氏は、中国によるレアアース鉱物と磁石の対米輸出規制は、枠組み合意の「基本的な」部分として解決されるだろうと述べた。中国のレアアース規制を受けて米国が導入した複数の措置にも触れ、「トランプ大統領が述べたように、バランスの取れた形でそれらが撤廃される見込みだ」と語った。

大西洋評議会ジオエコノミクスセンターの上級ディレクター、ジョシュ・リプスキー氏は、双方は合意条件について根本的に異なる見解を持っており、必要な対応をより具体的にする必要があったと指摘。「振り出しに戻ったが、ゼロから始めるよりはずっとましだ」と述べた。

両国は貿易対立を緩和するため、8月10日までに包括的な合意に向け交渉する必要がある。合意できなければ、関税は米国側で現在の約30%から145%に、中国側で10%から125%に戻ることになる。

ペッパーストーンの調査責任者、クリス・ウェストン氏は、ポジティブな結果だが、市場は小動きで結果が十分織り込まれていたことを示唆していると分析。「特に米国向けレアアースの供給量や、それを受けた米半導体輸出の自由度など詳細が重要になるが、米中協議の見出しが建設的である限り当面リスク資産を支援する見込みだ」と述べた。

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