災害は突然、予告なく起こるから…“防災のプロ”が肌身離さず持ち歩く【命を守る】必携アイテム11(東洋経済オンライン)
10/2 10:01 配信
外出時に防災グッズを持たない防災のプロに私は会ったことがありません――。こう語る防災プロデューサーの永田宏和氏は、自然災害はいつ起こるかわからないからこそ、日頃の備えが重要だと説きます。そんな永田氏が外出時に肌身離さず持ち歩いている防災グッズとはどんなものなのでしょうか。同氏の著書『防災のプロが自分でやっている防災法を1冊にまとめてみた』から、一部を抜粋・編集してお届けします。
■災害時に役立つ「たったの」11個
Q.外出時にプロが持ち歩く防災グッズは平均いくつ? ・約3個・約10個・約30個 地震は突然、予告なく起こります。当然です。出先で遭遇する可能性も高いため、外出時に防災グッズを持たない防災のプロに私は会ったことがありません。 では、持ち歩いている防災グッズはいくつぐらいあると思いますか?
正解は、「②約10個」です。実際に私が外出するときに持ち歩いている防災グッズを数えてみたら、たったの11個でした。
「たったのって……11個も? そんなに防災グッズを買わなくちゃいけないの?」と悲鳴が聞こえてきそうです。 ご安心ください。おそらくこの中には、すでに皆さんがお持ちのものもあると思います。次に挙げるリストが、その11個です。①携帯トイレ②スマホ&モバイルバッテリー③マスク④水(500mlくらいのペットボトル)⑤非常食(飴やシリアルバーなど)
⑥大判ハンカチ(50cm四方くらいのもの。または日本手拭い)
⑦ポリ袋(ゴミ袋やレジ袋など)⑧口腔ケア用ウエットティッシュ⑨ホイッスル⑩ヘッドライト⑪エマージェンシー・シート いかがでしょう? すでにあるものを今日から外出時の必携品にして、持っていないものを1つずつ加えていきませんか? なお、私はカバンに直接入れていますが、全部をまとめて「防災ポーチ」として持ち歩く人が増えています。防災用と考えると、できればポーチは防水仕様が理想です。
プラスチックのボトルに詰めて「防災ボトル」として持ち歩く人もいます。女性スタッフの防災ポーチは、友人から「軽い!」と驚かれるそうです。彼女は私が挙げたもの以外に、免許証のコピーや、万一スマホが使えなくなった場合に備えて家族の連絡先を書いたメモ、常備薬なども入れているそうです。
※外部配信先ではイラストを全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください■肌身離さず携帯したい理由とは ①携帯トイレと、②スマホ&モバイルバッテリーについては、防災の基本ですので、ここでは説明を割愛します。
③マスクは、コロナ禍以来ずっと外出時に持っている方も少なくないようです。地震で家や塀が倒壊すると粉塵が舞います。マスクなしで歩くと、のどを傷め、肺をやられます。また、人が大勢いる場所に避難すれば、風邪やインフルエンザなどの感染症が心配です。ぜひ、不織布のマスクを持ち歩く習慣を続けてください。
④の飲料水も、熱中症予防などで持ち歩いている方も多いと思います。大地震が起きたとき、500mlでは十分とは言えませんが、とりあえず急場はしのげます。 ⑤非常食は、シリアルバーや一口サイズの羊羹、飴、小袋ナッツなど、お好みのものを入れておきましょう。食品には賞味期限があるので、ふだんから小腹が空いたときのおやつにして、食べた分を買い足してください。
交通機関がストップしたとき、外出先から家まで歩いて帰ることになるかもしれません。どこかで一晩過ごすことになるかもしれません。そんなときに、エネルギーを補充しなければ、疲れて動けなくなるかもしれません。
少量でカロリーを摂れるものがあれば、エネルギー切れを起こして動けなくなるようなことも防げます。また、食べ物を口にするだけで、ちょっとホッとするものです。■幅広い用途に使える「大判ハンカチ」と「ポリ袋」 ⑥大判ハンカチは、小さなハンカチに比べて、いろいろな使い方ができます。まず、マスク代わりになります。舞い上がった粉塵も、火災による煙も、多少は防げます。
大地震が起こると思わぬ怪我をして、ほうっておくと感染したり出血が止まりにくかったりします。大判のハンカチなら直接傷口に当てて圧迫して止血ができるほか、包帯代わりになります。
また、地震でどこかに閉じ込められてしまうことがあります。大判のハンカチに石などを包んでハンマー代わりにして窓ガラスを割ったり、何かにぶつけて大きな音(SOS)を出せたりします。 ハンカチを棒の先に結びつけて、隙間から旗のように出せば、「ここに人がいる」というサインにもなります。他にはどんな活用法があるでしょうか? 私が考えた一部をイラストでご紹介しました。皆さんもぜひ考えてみてください。
⑦ポリ袋も、使い道はいろいろです。大(90l、子どもなら45l)は、ポンチョのように防寒・防水に使えます。中(レジ袋の大きさ)は、バッグなどを雨から守ったり、濡れた物を入れたりできます。腕を怪我したときに、三角巾のように使うこともできます。
小(片手が入る大きさ)は、怪我人の手当てをする際の手袋にしたり、足袋がわりにしたりできます。当然、貴重品などの小物入れにしたり、ゴミを入れたりもできます。■文字どおり、身を守ってくれる「ホイッスル」 ⑧口腔ケア用ウエットティッシュとは、洗口液を浸してある使い捨てのウエットティッシュです。普通の除菌用ウエットティッシュと違って、ノンアルコールでカテキン成分などが入っています。
ですから、指に巻いて口の中を掃除すれば、歯磨きになります。ウォシュレットが使えないときには、デリケートな部分にも使えます。もちろん、普通の除菌用ウエットティッシュのように、手を拭いたり、体の汚れを取ったりするのにも使えます。
いろいろな用途に使えるので、どうせ持ち歩くなら普通の除菌用ウエットティッシュよりも、こちらがおすすめです。 また、日頃、歯ブラシやマウスウォッシュを持ち歩いている方も多いと思いますが、口腔ケア用ウエットティッシュに換えれば災害時に役立ちます。ポケットティッシュのようにコンパクトなものが市販されています。
⑨ホイッスル(笛)があると、瓦礫の下などに閉じ込められても、命が助かる確率が上がります。救助がなかなか来ないときに大声を出し続けると、体力を消耗します。粉塵を吸って、声が出なくなるケースも考えられます。ホイッスルを吹くのは、大声をあげるよりも小さな力ですみ、しかも大きく響きます。
ホイッスルは、防犯ブザー代わりにもなります。停電して暗い中を歩いているときや、避難所のトイレなどで、犯罪を未然に防ぐことができるでしょう。 キーホルダー程度の大きさなので、荷物になりません。バッグをよく換えるという女性スタッフは、必ず持ち歩くティッシュケースに付けているそうです。■被災時にはストレスでみんな気が立っている
⑩ヘッドライトは盲点だった、と思われる方もいらっしゃるでしょう。被災した街では、夜は外を歩かずに朝を待つほうがいいのですが、歩いているうちに夜になってしまうこともあるでしょう。停電していれば、その道は真っ暗です。昼間でも地下や、地上階でも窓のない部屋や廊下は真っ暗になります。
スマホがあれば懐中電灯になりますが、スマホは情報収集や連絡手段に使い、バッテリーはなるべく節約するほうがいいでしょう。スマホの懐中電灯は、あくまでも「初期対応」にとどめておくほうがいいのです。
ヘッドライトの最大の利点は、両手をふさがずに前を照らせることです。災害時に動くときは、「手がふさがっていない」ことがとても重要です。小さく軽量のタイプが市販されています。家電量販店、ホームセンター、作業用品店などのほかに、ネット通販でも買えます。
⑪エマージェンシー・シートとは、薄手のアルミ製シートです。防風・防水・防寒になり、毛布やレインコートとして使用できます。非常用トイレを使うときの目隠しにもなります。
私はガサガサという音のしない「静音タイプ」を持っています。被災した方の話によれば、ガサガサという音のせいで、避難所で周囲の人とトラブルになったりするそうです。被災時にはストレスでみんな気が立っているので、ふだんならケンカにならないようなことでも諍いが起きるようです。
「静音タイプ」は通常のものより若干、値段が高いですが、これを選ぶことで無用なトラブルが1つ避けられるのなら、必要な投資ではないでしょうか。
東洋経済オンライン
最終更新:10/2(木) 10:01