お金より育児環境、国連が少子化対策の方向転換を提言-報告書
Magdalena Del Valle
- 家族手当や出生率目標は長期的効果見込めず逆効果も-国連人口基金
- 人々が日々の生活の中で直面している懸念の解消に焦点を移すべきだ
世界的な少子化の危機を解決するには、経済的インセンティブの提供ではなく、育児しやすい環境を整える必要がある。国連が最新の報告書で指摘した。
国連人口基金(UNFPA)の報告書は、多くの国が家族手当や出生率目標を通じて人口増加を図っているが、こうした取り組みでは必ずしも長期的な効果を見込めず、逆効果にもなり得ると分析。
「国家が出生率引き上げを目指して金銭的な優遇措置などの施策を講じたとしても、国民が家庭を築くために必要と考えるすべての条件がそろうわけではない。こうした施策によって、かえって家族や将来の計画を立てる際に頼る制度や機関への信頼が損なわれ得ることを示す証拠もある」とし、政策は「人々が日々の生活の中で直面している懸念」に焦点を移すべきだと指摘した。
中国・北京の公園で遊ぶ幼児(2024年6月14日)
同調査は14カ国の男女1万4000人余りを対象にUNFPAがユーガブに委託して実施。子どもを望んでいると回答した1万人のうち、約40%が「経済的制約によって理想とする子どもの数を持てていない」とした。
ジェンダー不平等や将来への不安を理由に挙げた人も合わせると、こうした状況の人は世界で数百万人に上ることが分かった。
報告書は、「この危機の根本にあるのは、子どもを持つかどうかに関する判断が国家や経済のニーズに合致していないことではなく、人々が理想の家族を築くための前提条件と考える経済的な安定や自立的な意思決定を制度が提供できていないことだ」と結論づけている。
原題:UN Report Says Financial Perks Can’t Help Solve Fertility Crisis(抜粋)
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