プーチン大統領、多方面から揺さぶり-欧州は防衛体制の構築急ぐ
- 欧州の即応能力を損ない、社会を不安定にするのが目的と高官は指摘
- 欧州を麻痺させ得る大規模攻撃の実行能力構築も目指すとの見方
ロシアのプーチン大統領が西側諸国の不安定化を狙った取り組みを拡大している。欧州各国の首脳は脅威の規模について再評価を迫られており、新たな防衛体制の構築を急いでいる。
今月に入り前例のない領空侵犯が相次いだことを受け、欧州連合(EU)のうち東方に位置する加盟国の国防相らは安全保障を強化し、多様化する脅威に対応するため「ドローンの壁」構想の具体化を進めた。
協議の内容に詳しい欧州の高官によると、ロシア政府の最終的な狙いは、欧州諸国の即応能力を損ない、社会の安定を揺るがすことにある。
欧州委員会のクビリウス委員(防衛担当)26日、国防相との協議後にヘルシンキで記者団に対し、「ロシアはEUと北大西洋条約機構(NATO)を試している。われわれは結束して迅速かつ断固とした対応を取る必要がある」と発言。その上で、同構想による防衛システムの大部分は1年以内に整備される可能性があると述べた。
EUのこうした動きは、NATOによる新たな防空強化策とも合わせ、ロシアが多方面から欧州に揺さぶりをかけている状況を浮き彫りにする。ロシアは4年目に入ったウクライナとの戦争にとどまらず、NATO領域における無人機や戦闘機による侵犯、さらにはモルドバでの選挙介入を狙ったサイバー攻撃を仕掛けている。
前出の欧州高官はロシアの動きについて、NATOへの多様な破壊工作に対する反応を試すとともに、欧州を麻痺させ得る大規模攻撃の実行能力構築を狙った組織的な取り組みだと述べた。
ポーランドへのドローン飛来やエストニア領空への戦闘機侵入に加え、今週にはデンマークにもロシアと思われるドローンが飛来した。欧州諸国は10月1-2日にデンマークのコペンハーゲンで開催する首脳会議で安全保障・防衛を協議する予定だ。
原題:Putin Is Ramping Up His Hybrid Campaign Against Europe(抜粋)
— 取材協力 Aliaksandr Kudrytski, Aaron Eglitis, Peter Guest, Julius Domoney, Greg Sullivan, Sanne Wass, Christian Wienberg, Andrea Palasciano and Andra Timu