トランプ大統領が「台湾防衛」に後ろ向き?“安倍なき日本”の新総裁が迫られる決断とは(ダイヤモンド・オンライン)

● トランプ政権2期目で 弱体化する中国包囲網  『ワシントン・ポスト』紙が9月18日に衝撃的なニュースを伝えた。アメリカは今夏に台湾に対して4億ドル(590億円)の軍事支援をする予定だったが、トランプ大統領が承認を見送ったと報じたのである。 https://www.washingtonpost.com/national-security/2025/09/18/trump-taiwan-arms-sales-military-aid/  この軍事援助には中国が反発しており、米中貿易交渉や米中首脳会談への影響を避けるためだと考えられる。  現在のトランプ政権の対中政策は、台湾防衛を重視した「同盟国との協調による中国包囲網」構築という当初の構想から離れつつある。  2期目のトランプ大統領はむしろ同盟国にも関税や貿易規制を課し、自国利益を最大化する路線に傾倒しており、従来型の「中国包囲網戦略」から遠のいている。  また、同盟国内の扱いでも差がある。イギリスが中国との関係を重視しているにもかかわらず、トランプ政権はイギリスを「特別扱い」している。  他方、ロシアとの協調は失敗し、欧州が機能不全に陥る中、日本が仲介役を担うべきとの声が高まっている。さらに、インドとは完全に決裂したことで、インドは中ロとの接近を進めつつあり、「クアッド(QUAD)」の立て直しが急務になっている。  1期目のトランプ大統領は、ロシアとの協調を優先して中国からの引き離しに成功し、親ロ国であるインドとの連携も深め、北朝鮮についても中国追従路線からの引き離しを進め、中国包囲網を着実に構築した。  さらには、イラン(革命防衛隊)の封じ込めとイスラエルとの協調によって湾岸諸国との和平を進め、中東の安定にも尽力した。  これらはすべて中国封じ込め政策につながった。

 そういった多くの外交的成果を出した1期目とは打って変わって、2期目の外交はちぐはぐで、中国包囲網はむしろ弱体化しつつあると見ていいだろう。  なぜこのようになったのか、また、日本が今後どのように対応していくべきかを考える。 ● 中国の封じ込めに 消極的なトランプ政権  冷戦期のアメリカによるソ連封じ込め政策は、NATOや日米安保体制を基盤とし、同盟国の結束と信頼を前提に成立していた。中国封じ込め戦略においても、多国間連携は欠かせない。  1期目のトランプ政権(2017〜2021年)は、安倍晋三元首相の外交努力を尊重し、日本が提案する枠組みに乗った。安倍元首相が提唱した「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」は、孤立主義に陥りがちなアメリカを国際協調に呼び戻した。  この政策は、基本的にバイデン政権にも継承された。  ところが、2期目のトランプ政権は、外交の最優先事項を中国包囲網から別のところに変えている。  今年に導入された「一律10%の輸入関税」、さらに自動車や鉄鋼への最大27.5%の追加関税は、日本や韓国、EU諸国の産業に直撃した(EUと日本についてはその後解除)。トヨタやホンダは販売価格を引き上げざるを得ず、ドイツや韓国メーカーも打撃を受けた。  その一方で、トランプ大統領は同盟国に「対中デカップリング」を迫った。同盟国は「対米関税」対策と「対中制裁」対策という二重の困難に直面し、それぞれの国内政治に混乱を招いた。  ところが、アメリカ自体は、国家安全保障を理由に制限されていたエヌビディアのH20チップについて、制限を解除して輸出ライセンスを発行する方向に変更し、貿易交渉では禁輸措置を一部緩和するなど、ここに来て融和姿勢が目立つようになっている。  2期目のトランプ大統領の台湾防衛については、当初から、その消極姿勢を不安視する声もあった。  英『フィナンシャル・タイムズ』(2025年8月5日)は「Trump is the gift that keeps giving to China(中国に貢ぎ続けるトランプ大統領の異常)」と題する記事で、同盟国に苛烈な高関税を課す一方、中国周辺の台湾やフィリピンにはさほど関心を示さないトランプ大統領の姿勢を「異常」と厳しく批判した。 https://www.ft.com/content/d10ea991-627d-4c79-8d80-04af180c69dc

ダイヤモンド・オンライン
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