豪当局、女性死亡受けディンゴの群れを殺処分 非難の的に
発信地:シドニー/オーストラリア [ オーストラリア アジア・オセアニア ]
オーストラリアのピュアディンゴ保護区で撮影された、野生生まれの純粋なオーストラリア砂漠ディンゴ(2023年撮影、資料写真)。(c)AFP PHOTO / Barry Eggleton /Pure Dingo Sanctuary/ Eurekalert【1月29日 AFP】オーストラリア当局は、東部にある世界遺産の島ガリ(旧フレーザー島)で若いカナダ人女性が死亡した事故に関連して、ディンゴ(オーストラリアの野生犬)の群れを殺処分したことで、激しい反発を招いている。
クイーンズランド州政府は、1月19日にガリの海岸で19歳のカナダ人バックパッカー、パイパー・ジェームズさんの遺体が発見された後、ディンゴ6頭を殺処分したと発表した。
この殺処分は、4000~5000年前にオーストラリアに初めて渡来したとされるディンゴの個体数をどう管理するかをめぐる議論を巻き起こしている。
ジェームズさんの遺体の司法解剖では、「溺死(できし)と合致する」証拠が見つかったが、ディンゴにかまれたとみられる傷も見つかった。
クイーンズランド州検視裁判所の広報担当者は、「ディンゴにかまれたとしても、直ちに死に至る可能性は低い」と述べた。
検視官による死因調査には数週間かかると見込まれていた。
これに対し、クイーンズランド州政府は、レンジャーが「攻撃的な行動」を確認したため、関係するディンゴ10頭の群れを殺処分すると発表した。
同州のアンドリュー・パウエル環境相は25日、記者団に対し、そのうち6頭をすでに殺処分したと述べ、「もちろん、殺処分は継続する」と付け加えた。
ガリの伝統的所有者である先住民族ブチュラ族は、ディンゴ(彼らの言葉でウォンガリ)を殺処分する前に州が自分たちに相談しなかったことは「予想外で残念だ」と述べた。
ブチュラ・アボリジニ・コーポレーションは今週、オーストラリアのメディアへの声明で、「またしても経済が国民や伝統的所有者の声よりも優先されているように感じる。これは非常にいらだたしく、受け入れがたいことだ」と述べた。
■「あなたが餌になる」
野生生物の専門家は、ディンゴを殺処分するのは誤った対応であり、推定70~200頭とされるガリのディンゴ個体数を脅かす可能性があると述べた。
シドニー大学のマシュー・クロウザー教授(保全生物学)は、ディンゴの個体数が少ないことを考えると、10頭の群れの殺処分はディンゴの遺伝的多様性を損なうことになると述べた。
「ディンゴの視点からすれば、道徳観念などない。彼らはただの野生動物であり、野生的な行動をしているにすぎない」と語った。
ディンゴは観光客と接するうちに人間を恐れなくなる傾向があり、中にはディンゴに餌を与えてはいけないという忠告を無視する観光客もいる。
クロウザーは、「それ(餌やり)は野生動物に対する最悪の行為だ」「彼らは人間を餌と結びつけてしまう。あなたが餌を与えないなら、あなたが餌になる。基本的にそういうものだ」と述べた。(c)AFP