焦点:中国軍制服組トップ失脚、対米パイプ喪失で高まる誤算リスク
[ワシントン/北京 28日 ロイター] - 中国人民解放軍の制服組トップである張又俠・中央軍事委員会副主席が失脚したことで、米国は人民解放軍との重要な連絡窓口を失ったと元米政府高官やアナリストらが指摘する。
習近平国家主席が人民解放軍の汚職取り締まりを進めている中で中国国防省は24日、張氏らが規律と法律の重大な違反の疑いで調査対象になっていると発表した。
世界最強の軍隊を持つ米中間の衝突を避けるため、歴代の米政権は高官との連絡網構築に努めてきた。それだけに複数の元米政府高官はロイターに対し、張氏の失脚が衝撃だったと打ち明けた。
ペロシ前米下院議長の台湾訪問に反発し、中国は人民解放軍と米軍の間の連絡を約1年5カ月間にわたってほぼ全て遮断した。習氏はその後、張氏に対してバイデン前政権下(民主党)の米国と連絡することを許可していた。
中国がベトナムに侵攻したことで勃発した1979年の中越戦争で実戦経験を持つ数少ない軍高官の1人だった張氏は、中央軍事委員会を率いる習氏の有能な助言者だというのが米国側の認識だった。
第1次トランプ政権で国務次官補(東アジア・太平洋担当)を務めたデービッド・スティルウェル氏は、2012年5月に1週間にわたって米国に派遣された軍事代表団に参加した張氏が中国人将校で唯一、米軍の輸送機オスプレイへの搭乗を希望したと回想。スティルウェル氏は「張氏は他の人民解放軍将校とは大きく異なる。米軍に非常に良く溶け込めただろう」とし、米軍の兵士との対話と兵器を試すことに熱心な姿勢から、政治的ではない職業軍人であるとの印象を受けたとして「張氏がいなくなることで失われるのは理性の声だと思う」と嘆く。
張氏の失脚を受け、中央軍事委員会に制服組で残るのは張昇民副主席だけとなった。
米国防当局者として張氏と関わった経験を持つシンガポールのS・ラジャラトナム国際研究院上級研究員ドリュー・トンプソン氏は「中央軍事委員会の(制服組)メンバーがたった1人しかいない場合、習氏は危機対応時に誰を招集するのか」と疑問を投げかけた上で、「習氏は聞きたいことを言うおべっか使いから誤った助言を受けるリスクがある」と指摘。「それは誤算のリスクを生む」と警鐘を鳴らした。
米首都ワシントンに拠点を置く安全保障コンサルティング会社ブルーパスラボの中国軍事専門家、エリック・ハンドマン氏は、習政権下の軍隊間交流は中央軍事委員会のレベルであっても台本通りになる傾向があるとして「人民解放軍は自らの能力をかなりうまく把握しており、準備が整う前に台湾有事へ動くことに関心はない。私の疑問点は、習氏が軍の意見をどこまで聞いているかだ」と話す。その上で「習氏が、もっとたちの悪い助言を受けていないかが心配だ」と打ち明けた。
米政府高官は、トランプ政権(共和党)が中国の「体制内陰謀に関する報道」についてコメントする立場にないとした上で、米国が「(中国の海洋防衛ライン)第一列島線の全域で侵略を阻止できる軍隊を構築している」と解説した。
国防総省はコメント要請に応じなかった。ワシントンの駐米中国大使館も回答を拒んだ。
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Michael Martina is a Washington-based foreign policy correspondent who covers U.S.-China relations and the global impact of the two countries' diplomatic, technology, and military competition. He was a member of the Reuters team that won the Pulitzer Prize in Investigative Reporting in 2025 for uncovering fentanyl supply chains, and previously reported from Beijing for more than a decade as a senior correspondent for the news agency.
Mei Mei Chu specializes in domestic governance, human rights, and foreign policy engagements. She previously specialized in China’s agriculture sector, reporting on food security and the U.S.-China trade war. Prior to her posting in China, she was Reuters Commodities Correspondent in Malaysia, where she exposed forced labour abuses across the country’s manufacturing and agricultural companies. She began her journalism career at Malaysia’s largest English-language newspaper and is an alumna of the Oxford Climate Journalism Network. She brings a cross-disciplinary lens to her coverage of policy and diplomacy.