「徒競走でビリだった……」早生まれのハンデは褒め方次第で自信に変わるが「褒めるだけ」はダメ(All About)
「徒競走でビリのとき、どう褒めればいいの?」 そんな風に思われた方はもしかすると、いつも「結果」にフォーカスしているのではないでしょうか。「結果」だけを見ていると、確かに褒める部分は限られてしまいます。実は脳科学的には、「結果」や「状態」を褒めることは必ずしも良い成果を生まないことがわかっています。 結論をいえば、褒めるべきは「努力」です。 ちょっと根性論のように思われるかもしれませんが、これは科学が証明していることなのです。1位だったから、100点をとったからと、その「結果」だけを褒めていると、人はできることしかしなくなってしまいます。 あの有名なアドラー心理学でも、「結果を褒めてはいけない」と主張しています。
アドラー心理学の研究者である哲学者の岸見一郎氏は、著書『叱らない、ほめない、命じない。―あたらしいリーダー論 ―』の中で、次のように述べています。 ほめることの問題点は二つあります。 一つには、ほめられるために頑張ろうとする人が出てくることです。上司からほめられた人たちは、無意識のうちに、上司からほめられることだけをするようになります。 逆にいえば、ほめられないことは、何もしません。ほめてくれる人がいないかぎり、自分の判断で動くことがなくなると、子育ての場面でも、職場でも、困ったことになります。 1位をとれることだけをする。100点をとれる簡単な問題しかしなくなるなど、課題の継続という面で、悪影響が出てしまうのです。一方で、「努力」を褒められた人は、意欲が高まり努力し続けることがわかっています。 小学5年生を対象とした研究では、「努力を褒められた子ども」は、「知能を褒められた子ども」よりも、最終的に学業成績が向上したことが示されています。 失敗をしても、「努力」を褒められた子どもは、粘り強く、楽しみながら課題に挑戦し、最終的には成績が向上したといいます。一方で、「知性」を褒められた子どもは、成績が伸び悩む傾向がありました。「やればできる」と思い、頑張ったのは、「努力」が評価された子だったのです。 お子さんが今、運動や勉強などでいい成績をとれなくても、問題ありません。なぜなら、自己肯定感を高め、人の能力を伸ばすためには、その「努力」に着目することが大切だからです。 「足が速いね」「頭がいいね」と、「結果」や「状態」を褒めるのではなく、「最後まで頑張ったね」「一生懸命勉強していたね」と、その「努力」を見つけて伝えていきましょう。 これはもちろん、遅生まれの子にも、会社の部下にも効果がある褒め方です。子どもの自己肯定感を高めるために、「努力」を褒めるのがよい、ということがわかりました。