英地方選で労働党が大敗、スターマー氏は続投表明 リフォームUKが各地で勝利

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画像説明, スターマー英首相は8日、ロンドン西部イーリングで党員に向けて演説した

ジョシュア・ネヴェット政治記者、ケイト・ワンネル政治記者

イギリスで7日に投票が行われた地方選挙は、8日に開票が進められ、大勢が判明した。イングランドではリフォームUKが最大の勝者となり、各地で合わせて1400超の議席を獲得。歴史的に労働党と保守党が優勢だった地域で主導権を握った。こうしたなか、キア・スターマー首相は8日夜、辞任して「国を混乱に陥れる」つもりはないと強調した。

労働党は、イングランドの地方議会で計1400以上の議席を失った。これには、北部イングランドやミッドランズに広がる同党の地盤も含まれる。ウェールズ議会では過半数を守ることができず、27年に及んだ支配に終止符が打たれた。スコットランド議会でも後退し、スコットランド国民党(SNP)が引き続き最大政党にとどまる見通しだ。

各地での結果を受け、スターマー氏に対する政治的な圧力が高まっている。一部の労働党議員は、首相辞任の時期を提示するよう求めている。ただし、閣僚らは現時点では、スターマー氏を支持している。

BBCは1000を超える選挙区の結果を基に、総選挙で今回の地方選と同様の投票行動が行われた場合の得票率(PNS)を試算。リフォームUKが得票率26%で最大政党となり、緑の党(18%)、労働党と保守党(共に17%)が続くとの結果となった。長年イギリス政治で続いてきた2大政党体制の終わりをうかがわせるものとなった。

画像説明, 歓喜するリフォームUKの候補者ら。同党は今回の地方選挙で最大の勝者となった(プリマス、7日)

イングランドで最大の躍進を遂げたリフォームUKのナイジェル・ファラージ党首は、今回の結果は「イギリス政治における真に歴史的な転換」を示すものだと述べた。

リフォームUKが掌握した地方議会の一つ、ヘイヴァリングで演説したファラージ氏は、労働党と保守党が支配してきた旧来の時代は終わったと強調。リフォームUKにとって「最良の時代はこれからだ」と宣言した。

イングランドでは緑の党も好調で、500議席以上を獲得したほか、ロンドンではハックニーの首長職を勝ち取った。

緑の党のザック・ポランスキー党首は、今回の結果は二大政党制の終焉(しゅうえん)を示しており、有権者はスターマー首相を拒否したのだと述べた。

自由民主党は明暗が分かれた。ストックポートとポーツマスの地方議会で過半数議席を獲得した一方、ハルでは支配権を失った。ただ、イングランド全体では150議席以上を積み増し、3番目に大きな勢力となった。

ポーツマスで発言したエド・デイヴィー党首は、労働党と保守党が「国を失望させた」結果、有権者がリフォームUKや緑の党といった「過激な」政党に引き寄せられたとの見方を示した。

労働党と同様、保守党も大きな敗北に直面した。イングランドでは550以上の議席を失い、第4勢力となった。ブレントウッド、タムワース、ノースイースト・リンカンシャー、エセックスといった旧来の支持基盤をリフォームUKに奪われた。ただしロンドンでは一定の成果を挙げ、ウェストミンスターの地方議会を労働党から奪還。ワンズワースでは最大政党となった。

ウェールズ議会では、プライド・カムリ(ウェールズ党)が20議席を積み増し、最大政党となったが、過半数には届かなかった。リフォームUKは今回、初めてウェールズ議会の選挙に候補者を出し、34議席を獲得して第2党に躍り出た。

定数が拡大されたにもかかわらず、労働党は35議席を失い、わずか9議席の小勢力に縮小した。ウェールズの選挙で労働党が敗北するのは1世紀以上ぶり。

労働党の衰退の規模を浮き彫りにする結果として、ウェールズ自治政府のエルネッド・モーガン第一大臣(首相に相当)も議席を失った。モーガン氏は、ウェールズ労働党の党首を辞任すると表明した。

スコットランド議会では、SNPが19年に及ぶ政権維持をさらに延ばす見通しだ。ただし、議席数は6減らした。

労働党は4議席を失い、初めて候補者を出したリフォームUKと並んで17議席となった。

スコットランド労働党のアナス・サルワー党首は、同党が「議論に勝てなかった」と述べ、スターマー首相は辞任すべきだとする従来の主張を改めて展開した。

労働党の低調な結果は、ここ数カ月で高まっているスターマー氏の指導力に対する疑念を一段と膨らませている。

圧力をかわす狙いから、スターマー氏は9日付の英紙ガーディアンに寄稿し、これまでの方針を維持し、結束を築く決意を表明した。

「有権者が私たちに送ってきたメッセージに応える必要はあるが、それは右にも左にも寄ることを意味しない」と、スターマー氏は主張。「それは、幅広い政治運動を結集させ、私たちの価値観について率直であり、ビジョンにおいて大胆で、人びとの要求に応えることを意味する。それは分断するのではなく、統合することだ」とした。

開票結果が出始めた8日朝の演説では、スターマー氏は、今回の選挙が「厳しい」ものだったと認めたうえで、「私は立ち去って国を混乱に陥れるつもりはない」と述べた。

スターマー氏は、選挙の余波が落ち着いた後の来週に、政権を立て直す試みを計画している。

こうしたなか、8日夜にはほとんどの閣僚が、首相を支持する姿勢を示した。

レイチェル・リーヴス財務相は、スターマー氏が「この国を変えるための信任を勝ち取った」と述べ、「その信任を実行に移す必要がある。政治が人びとの生活をより良くできることを示さなければならない」と付け加えた。

ジョン・ヒーリー国防相は、首相が「事態を今からでも立て直せる」と信じていると述べた。イヴェット・クーパー外相は、結果に対する「拙速な反応」を戒めた。

エド・ミリバンド・エネルギー相は、「これは労働党にとって壊滅的な結果だ」と述べた。そのうえで、「キアが述べたように、労働党が2024年に勝ち取った変革の信任を実現するため、さらに踏み込まなければならない。そして、この国における変化への呼びかけにどう応えるのかを示す必要がある」と付け加えた。

ウェス・ストリーティング保健相は、11日に予定されている演説で首相が選挙結果への党の対応を示すにあたり、「私の支持を受け続けることになる」と述べた。

ストリーティング氏は、政府は労働党の大敗について「責任を引き受けなければならない」としたうえで、人びとが「切実に求めている変化を、今なお実現できる」ことを示す必要があると述べ、党が「チームとして」取り組まなければならないと強調した。

BBCから、党首選への出馬の可能性を排除するのかと問われると、ストリーティング氏は、スターマー氏が「2019年の壊滅的な敗北の後ではまったく不可能だと思われていた過半数を実現した」と述べた。

一方、8日夜時点で、労働党所属の22人の下院議員が公に首相の辞任、または辞任時期の提示を求めている。非公式には、首相への批判は党内左派をはるかに超えて広がっている。

閣僚経験者のルイーズ・ヘイグ議員は、スターマー氏の不人気が戸別訪問の現場で話題になっていたことは認めつつも、いま彼に反対して動く時期ではないとの見方を示した。

「私たちは、無責任で混乱した内部抗争に陥るわけにはいかない」とヘイグ氏はBBCに語った。一方で、首相がこれまでのやり方を変えなければ、「次の選挙に私たちを率いることはできない」と付け加えた。

ヘイグ氏は、労働党のいわゆる「ソフト左派」における有力な発言者。この潮流にはミリバンド・エネルギー相や、グレーター・マンチェスターのアンディ・バーナム市長の支持者らも含まれる。

一部の労働組合の指導者も、スターマー氏に辞任を求めている。イギリスの最大労組ユナイトのシャロン・グレアム書記長は、首相の政権について「終わりは近い」と述べた。

これに対し、労働党の元事務総長4人は、スターマー氏の指導力をめぐって議論するのではなく、国を変えるための計画に集中すべきだと党に呼びかけた。

労働党を財政的に支えている労働組合は、首相との「緊急会合」を求め、「悲惨な選挙結果」は「労働党政権と働く人びとの間に、明白な断絶がある」ことを示していると指摘した。

通常はより支持的な労組も含む共同声明で、これらの組合は「経済政策と政治戦略」における方向転換を求めている。

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