国民審査を受ける最高裁裁判官2氏、アンケート回答結果

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最高裁裁判官の国民審査が8日、衆院選の投票と同時に全国の投票所で行われる。職責にふさわしいかどうかを有権者が投票で直接審査する唯一の機会だ。1日から期日前投票ができる。今回、審査を受けるのは2024年10月の前回衆院選以降に任命され、在職中の2氏。

国民審査は「任命後最初の総選挙の際に国民審査を受ける」と定める憲法79条に基づく制度。辞めさせるべきだと考える裁判官に「×」を書き、信任する場合は何も書かない。「×」以外を記入すると全て無効になる。有効投票の過半数が「×」だった裁判官は罷免される。

審査は1949年に初めて行われ、今回で27回目。これまでに延べ196人の裁判官が審査対象となった。罷免されたケースはない。

2氏は就任から1年に満たないまま今回の審査を迎える。関与した裁判例が少なく判断材料が十分ではないといった課題を指摘する声は根強くあり、審査の実効性を疑問視する意見もある。

国民審査を受ける2人の裁判官に実施したアンケートの主な回答を、最高裁で関与した主な裁判や略歴とともに、告示順に掲載する。▼質問項目①最高裁裁判官としての信条、大切にしていることや心構え②自らの個性、信念が最も体現したと感じる裁判または就任前の仕事③司法分野における生成AI(人工知能)の活用のあり方④保釈可否の判断を巡り、「証拠隠滅の恐れ」や被告の病状に対して裁判所はどう臨むべきか

⑤夫婦別姓や同性婚を認めるよう求める裁判が起きている。社会の変化や価値観の多様化に伴う国民の声の高まりに裁判官はどう向き合うべきか

たかす・じゅんいち 法政大法卒。88年弁護士登録。日弁連司法制度調査会委員長を経て25年最高裁判事。66歳。

▼関与した主な裁判 

24年衆院選の「1票の格差」を合憲とした小法廷判決で「違憲状態だった」とする意見(25年9月)

▼回答

①法が実現すべき理想の探求を見失うことなく、一方で法と社会の現実的関係にも着目しながら紛争解決のために法を適用することが大切だ。当事者の主張をよく聴き、謙虚に、そして真摯に職務に取り組んでいく。

②弁護士のときに不当な扱いを受けた外国人留学生から依頼を受けた。差別と戦うために、まずは自分自身の内にもある他人と己を区別する感情を克服する大切さを教えてくれた。事件と向き合う姿勢の原点となっている。

③利用しやすい司法の観点からも適切に取り組むべき問題だと考える。ただし、裁判制度は一国の歴史、文化に根差したものだ。デジタル任せにせず、人がなすべきことは何かなど慎重に検討する側面もある。

④法規に基づき適正、迅速に判断すべきだ。手続きのあり方について検討し、研鑽を積むことが大切だと考える。

⑤一般論として司法の判断は社会の変化と無関係でいることは許されない。法的観点からの検討に加え、紛争の背景や社会の実相なども見据えながら、多角的な視点に基づく判断が求められる。

おきの・まさみ 東大法卒。10年東大院教授。東大法学部長を経て25年最高裁判事。62歳。

▼関与した主な裁判 

戸建て住宅のLPガス設備を巡り、ガス事業者が契約を途中解約した住宅購入者に設備費を支払わせる条項の有効性が争われた訴訟で、契約を「無効」とした判決(25年12月)

▼回答

①あくまで個別事件の判断だが、今後の裁判や社会の行動指針となる。様々な考え方に複眼的に予断なく向き合い、何が法であるのかをしっかり見極めることがなすべきことだ。

②一定の見解を一貫して打ち出すより、様々な観点から問題に光を当てることに特徴がある。就任前は立法のための審議会などで専門家としての分析を通じて、対立する利害や主張を止揚していく一助となることが研究者としての役割の一つだと心掛けてきた。

③「AIは間違う」ことを念頭に、慎重に丁寧に司法制度を支える社会からの信頼や納得感を損ねないよう、活用の可能性を考えていく必要がある。

④被告人の身体拘束に関する重要な判断で、制度運用のあり方は不断に問うべきだ。研究会を通じた議論とその共有は継続されていくものと思う。

⑤社会の変化や価値観をどう測り、法律の解釈に取り込んでいくかは、事項によって異なる。訴訟となっている事項は裁判で改めて当事者の主張を踏まえて判断する。

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