ノリス、ピアストリ接触で今季末まで続く“制裁処分”─マクラーレンが内部措置を決定
前戦シンガポールGPでチームメイトのオスカー・ピアストリと接触した件について、ランド・ノリスがマクラーレンから正式に責任を問われ、シーズン末まで”処罰”を受けることが明らかになった。ただし、その具体的な内容については、ノリス本人もチームも口を閉ざしている。
チームメイト同士の“ヒヤリ”で波紋
Courtesy Of McLaren
サイドバイサイドでポジションを争うマクラーレンのオスカー・ピアストリとランド・ノリス、2025年10月5日(日) F1シンガポールGP決勝(マリーナベイ市街地コース)
問題のシーンは、シンガポールGPの決勝スタート直後に発生した。ノリスはマックス・フェルスタッペンを避けるために回避行動を取った際、チームメイトのピアストリと接触。ピアストリは壁に追いやられ、危うくリタイアに追い込まれるところだった。
これによりピアストリを交わしたノリスは、2番手を維持したままレースを続行し、最終的にピアストリの前でフィニッシュ。ドライバーズ選手権で首位ピアストリとの差を22ポイントに縮めた。
一方のピアストリは無線で不満を示し、ポジションの返上を訴えたが、チームは不問とする姿勢を示し、何らの対応も行わなかった。だが、レース後の内部検証では、ノリスに非があったと結論づけられたようだ。
ノリス「責任を問われたのは当然」
英紙『インデペンデント』によると、2025年F1第19戦アメリカGPを前にノリスは、「チームはあの出来事の責任が僕にあると判断した。それはフェアな結論だと思う」と語った。
さらに「その影響はシーズンが終わるまで続くことになるだろう」と述べ、何らかの形でペナルティが科されたことを認めた。
一方で興味深いのはピアストリの発言だ。ピアストリによれば、ノリスだけでなくチームも責任を認めたという。
「ランドはあの件で責任を取ったし、チームもそうした。1周目の展開が、僕らが望むレースのあり方でなかったことは、チームとしてかなり明確だと思う」と語った。
ノリスは具体的な処罰内容については伏せたものの、チームがなぜ対応を取ったのかについてはこう説明した。
「ルールは単純で、“お互いにクラッシュしないこと”だ。今回はクラッシュには至らなかったけど、接触があった時点でそれは良くない。僕らはそういう状況を避けたいし、チームとしても望んでいない」
「ザック(ブラウンCEO)もアンドレア(ステラ代表)も、チームメイト同士の接触は絶対に避けたいと考えている。だから僕は責任を問われたし、それに伴う結果を受けることになった」
シーズン終了まで続くというこの”処罰”が、具体的にどのような内容であるのかは明らかにされていない。ボーナスの調整、チーム戦略における優先順位の変更、あるいはチームメイトとの直接対決に関する制限など、さまざまな可能性が考えられる。
いずれにせよマクラーレンは、前戦でコンストラクターズ選手権を確定させており、今後はチーム全体としてのポイント獲得よりも、ドライバー間のバランスやチーム内秩序の維持が焦点となる。
ピアストリとの微妙な関係を抱えながら、初のチャンピオン獲得を狙うノリスは今後どのように立ち回るのか――アメリカGP以降の数戦で、その“見えない処罰”がどのような影響を及ぼすのか注目される。