この夏、勉強嫌いから卒業しよう!東大生おすすめの「勉強が面白くなる必読書」5選を科目別で紹介(東洋経済オンライン)
登場する数式や定理は難しいものの、はしょるべきところは、はしょっているので、中学生でも問題なく読めるシリーズになっています。 この本が素晴らしいのは、公式を覚えるのではなく、「なぜそうなるのか」を一緒に考え、発見する楽しさを体験できる点です。 結局数学が嫌いになる原因は「公式を覚えてそれを当てはめる」という自由度のない作業に嫌気が差すからだと思います。 でもこの本で伝えてくれるのはその真逆で、「数学は自由である」というメッセージです。この本では、ただ「覚えて終わり」ではない、数式を組み立てて公式を紐解き、世界を広げていくような体験をすることができます。
【英語】 わけがわかる中学英語 次におすすめなのは「わけがわかる中学英語」です。 この本は、英語の細かな色々なネタに対して、「なぜそうなるのか?」という“理由”を教えてくれる本です。ひとつひとつの説明はわりとあっさりしていて、ペラペラめくって楽しめる非常に面白い1冊になっています。 中学英語というと、基本的に「暗記」がメインです。 英文法を覚え、英単語を覚え、例文を覚え……とにかく覚えるのが学習の基本になってしまいます。しかしこの本では、そんな中でも、細かい英文法の事項に対して「納得」を重視してくれています。
その上で、「そう言われてみれば確かになんでだろう?」と思うようなこともいろいろ説明してくれています。 ――未来を表す言い方に、willとbe going toの2つがあるのはなぜ? ――『I have two brothers』=『私は3人兄弟です』なのはなぜ? のように、英語を勉強していてもなかなか疑問に思わないけれど、疑問を持ってみると実は英語の本質的な考え方につながるような面白い問いがたくさん載っています。
探究学習の一環として考えても面白いネタの宝庫なので、「英語が面白くない」という生徒にぜひおすすめしたい1冊です。 【国語】 実はおもしろい古典のはなし:「古典の授業? 寝てたよ!」というあなたに読んでほしい 「実はおもしろい古典のはなし:『古典の授業? 寝てたよ!』というあなたに読んでほしい」は、「古典=退屈」というイメージを覆すような本であり、中高生向けの古典入門書として最適な1冊です。 著者は書評家の三宅香帆さんと元国語教師の谷頭和希さんであり、古典作品を現代の視点でユーモアたっぷりに解説してくれています。
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【社会】 東大の良問10に学ぶ日本史の思考法 最後は社会です。僕は社会という科目は、その解釈の仕方・歴史という、ある意味でもう終わった出来事に対する「分析・解釈」が面白いと考えています。 年号や歴史上の人物の名前を覚えているだけでは面白くはありませんが、「こういうことも考えられるんじゃないか」という目線を持って歴史を読み解き、「こういう考え方もあるのか!」というものと出会った時にこそ、「面白い」と感じられるのではないか、と。
そして、東大の入試問題というのはそういう「面白い分析の仕方」を提供してくれるものです。ひと昔前に「歴史が面白くなる 東大のディープな日本史」という本がベストセラーになりましたが、あの本が多くの読者に受け入れられたのも、東大の入試問題が面白かったからだと思います。 この「東大の良問10に学ぶ日本史の思考法」は、最新の東大の入試問題を使って、日本史の面白いところを紹介してくれている新書です。 例えば、これを読んでいるみなさんは、「徳川綱吉」を「生類憐れみの令」を出した将軍として暗記した記憶があると思います。
で、この「生類憐れみの令」は「犬や猫を過剰に大切にする法令」で「悪法」だと解釈していた人も多いのではないでしょうか。 しかし近年、この「生類憐れみの令」は、民衆の道徳心を育てる意味があり、日本を今のような平和な国にしたという一面があるのではないか、という解釈もされるようになってきました。東大日本史で、数年前にそのことについて触れる問題が出題されて話題になりました。 この本でもこの「生類憐れみの令の解釈」に関する問題が解説されているのですが、やはりこういう自分の目線だけではない「分析・解釈」は面白いですよね。この本では、東大の入試問題を題材にしつつ、「分析・解釈」の仕方について教えてくれます。
■「自分から知りたくなる」から勉強が楽しくなる 今回紹介した5冊はいずれも、知識を“押しつけられる”のではなく、「自分から知りたくなる」きっかけを与えてくれる本ばかりです。勉強が嫌いな子どもでも、「この本ならちょっと読んでみようかな」と思える内容です。 もしお子さんが勉強に前向きになれないとき、「がんばれ」と言う代わりに、ぜひこうした“勉強の楽しさ”と出会える本をプレゼントしてあげてください!
西岡 壱誠 :ドラゴン桜2編集担当
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面白いのは、古典という昔の話を、現代風の言い方に変えてわかりやすくしてくれているということです。 「源氏物語」は「おしとやかなアウトレイジ」、「枕草子」は「毒舌エッセイ」など、独自のツッコミが満載の1冊になっています。 「万葉集はX」「古今和歌集はInstagram」「新古今は貴族の“界隈”確認ゲーム」など、とにかく現代的に解釈をしてくれているため、読んでいても全然飽きることがありません。 そしてこの1冊を読んだ上で古文を読むと、「いろいろ難しいこと書いてあるけど、でもこういう話なんだよな」というざっくりとしたその古文の文章の読み方・楽しみ方が理解できるようになります。
古文の勉強がつまらなくなってしまう前に、ぜひ読んでおいていただきたい1冊です。 【理科】 ご冗談でしょう、ファインマンさん 次は理科です。理科が面白くなる本を紹介する前に、みなさんはファインマンという物理学者をご存じでしょうか? ノーベル物理学賞を受賞した天才物理学者であり、彼の「ファインマン物理学」は今でも世界的に読者が多い1冊です。 東大生の中には、この本を読んで物理の研究の世界に入ろうと思ったという人も一定数います。僕の知り合いで「ファインマン物理学が自分の物理への探究心の源泉だ」と語る人は片手ではおさまりません。
だから本当は「ファインマン物理学」を紹介するべきなのかもしれませんが、さすがに中学生にはこの本はハードルが高いので、僕が今回紹介したいのは「ご冗談でしょう、ファインマンさん」です。 この本は、先ほどから話題に上がっている天才物理学者ファインマンの、型破りな人生を描いた自伝的小説・エッセイ集です。 物理学者というからには品行方正な人物なのかと思いきや、全くそんなことはなく、この本では少年時代のヤンチャ坊主っぷりが思いっきり描かれています。
小さい時のイタズラや仲間とのバカ騒ぎなど、自由奔放なエピソードがずらり。 そんな面白いエピソード満載の本ではあるものの、この本からはその根底にあるファインマンの「知ることの楽しさ」「常識にとらわれない生き方」を学ぶことができると思います。 常に目の前のことにいい意味で疑いの目を持って生きること。そうして得られる知識と経験。 彼の人生のエピソードから、「物理って面白いのかもしれない」という感覚を学ぶことができると思います。理科の勉強なんてつまらない、と思っているお子さんに、ぜひプレゼントしてみてください。