ファースト・ブランズ、CEOが辞任-負債100億ドルの混乱残す
経営破綻した米自動車部品メーカー、ファースト・ブランズ・グループのパトリック・ジェームズ最高経営責任者(CEO)が辞任した。ジェームズ氏はファースト・ブランズの創業者でもあるが、同社が破綻する前、同氏についてはあまり知られていなかった。
ファースト・ブランズの突然の経営破綻を受け、世界中の金融機関に痛みが広がっている。ジェームズ氏のCEO辞任により、複雑かつ不透明な財務構造を解きほぐすという難題はチャールズ・ムーア氏に引き継がれることになった。13日の同社発表によると、ムーア氏は暫定CEOに就任する。同氏は9月、ファースト・ブランズが破産申請を行った際に最高再建責任者に任命されていた。
ファースト・ブランズが9月28日に提出した文書によると、同社は破産申請した時点でウォール街の一部大手金融機関に総額100億ドル(約1兆5200億円)超の負債を抱えていた。債権者の1社は、最大23億ドルが「消えた」と主張している。
関連記事:3500億円「消えた」-ファースト・ブランズ債権者、独立調査求める
ジェームズ氏は広報担当を通じて、「事業の成功および、顧客、サプライヤー、従業員、貸し手の価値最大化に引き続き深くコミットしている」とコメントした。一方でムーア氏は別の声明で、「当面の最優先事項は安定性と信頼性の確保だ」と述べた。
ファースト・ブランズが連邦破産法の適用を申請してから約2週間、同社を巡る関心はジェームズ氏の人物像に集まっている。ジェームズ氏はマレーシア生まれで、オハイオ州の大学に通ったが、インターネット上で同氏に関する情報はほとんど見つからない。同氏は借り入れを原資とする積極的な買収を繰り返し、ファースト・ブランズを自動車部品のコングロマリットへと成長させた。
関連記事:ファーストブランズ破綻、無数の警告サイン-欲に負けた銀行見過ごす
一方でムーア氏は、ファースト・ブランズが直面する多くの課題について明確な言葉で説明している。同氏はコンサルティング会社アルバレス・アンド・マーサルで25年勤務した経歴を持ち、自動車部品メーカーやデトロイト市の再建を手掛けてきた。
ファースト・ブランズが9月末に連邦破産法11条の適用を申請した際、ムーア氏の当初の焦点は、給与支払いと事業継続のための5億ドルの融資について裁判所の承認を得ることだった。判事はこの融資を認めたが、初期段階での支出上限を1億7500万ドルに制限したと、裁判所記録は示している。
貸し手側の弁護士は、ファースト・ブランズの破綻を「制御された不時着」と表現。経営維持のための緊急融資を実行する前に行ったデューデリジェンス(資産査定)は、通常の10-20%程度だったという。
ムーア氏は資料で、「当社の流動性が急速に悪化し、潜在的な投資家がさらなる精査を完了するまで時間を要する状況だったため、いかなる取引も裁判所を通じて実施する必要があることが明らかになった」と述べている。
原題:First Brands CEO Resigns and Leaves $10 Billion Mess to Clean Up(抜粋)