NY市場サマリー(15日)S&P500反発、ドルが対ユーロ・円で下落、利回り上昇

<為替> 終盤のニューヨーク外為市場では、米中貿易摩擦の再燃を受けて市場心理が悪化する中、ドルがユーロ、円に対して下落した。

ドルは対円で0.39%安の151.24円。

ユーロは0.35%高の1.1646ドルとなった。フランスのルコルニュ首相は14日、年金制度改革を2027年に予定される大統領選後まで停止すると発表した。

ドルは対スイスフランで0.49%安の0.797フランとなった。

この日は米中貿易摩擦を巡る米当局者の発言が相次いだ。ベセント財務長官は米国は中国との対立激化もデカップリング(分断)を望んでいないとしつつも、中国が信頼できない供給国であることが判明すれば、行動を起こさざるを得なくなるだろうと述べた。グリア米通商代表部(USTR)代表は中国によるレアアース(希土類)輸出規制の大幅拡大は、過去6カ月間にわたる米中通商合意を完全に反故(ほご)にするものとの見解を示した。

NY外為市場:

<債券> 米金融・債券市場では、国債利回りが不安定な取引の中、上昇した。米中貿易摩擦を巡る懸念が高まる中、市場は当局者の発言に注視している。

利回りは取引序盤、グリア米通商代表部(USTR)代表の中国のレアアース(希土類)輸出規制を巡る発言を受けて低下し、一時、数週間ぶりの低水準を付けたものの、その後、上昇に転じた。

アクション・エコノミクス(サンフランシスコ)のグローバル債券担当マネジング・ディレクター、キム・ルパート氏は「利回りは2年債で3.50%、10年債で4%という重要な水準を下回って推移できなかった」と指摘。市場は行き過ぎ感から調整局面に入ったとの見方を示した。

指標となる10年国債利回りは2.2ベーシスポイント(bp)上昇の4.044%。一時、3.999%まで低下していた。

2年債利回りは2.5bp上昇の3.504%。一時、 3.466%を付けた。

米金融・債券市場:

<株式> 米国株式市場はS&P総合500種(.SPX), opens new tabが反発して取引を終えた。米中貿易を巡る緊張の高まりが引き続き注視される中、モルガン・スタンレーとバンク・オブ・アメリカが好決算を受けて上昇した。
モルガン・スタンレー(MS.N), opens new tabは4.7%高で上場来高値を更新、バンク・オブ・アメリカ(BAC.N), opens new tabは4.4%高。いずれも第3・四半期の利益が市場予想を上回った。S&P500銀行株指数(.SPXBK), opens new tabは1.2%上昇し、3週間超ぶりの3日続伸となった。

今週の銀行決算は国内主要企業の堅調さを示唆するとともに、政府機関閉鎖でマクロ経済指標の発表が延期される中、経済の健全性に関するヒントも提供している。

グローバルトのシニアポートフォリオマネジャー、トーマス・マーティン氏は「人々は支出しており、消費者は好調のようだというのが銀行決算から得られたメッセージの一つだ」とし、「雇用は急減しているわけではない。インフレと雇用の双方が基本的に妥当な範囲内にある」と述べた。

米連邦準備理事会(FRB)が15日に公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)によると、雇用は概ね安定していたものの、人員削減した企業が増え、労働市場の軟化を巡る懸念を強めるものだった。

米国株式市場:

<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、安全資産に対する旺盛な買い意欲に支えられ、4営業日続伸した。

中国によるレアアース(希土類)輸出の規制強化をきっかけに、米中貿易摩擦が再燃している。トランプ米大統領は14日、中国が米国産大豆の購入を停止していることに反発し、同国の食用油などの輸入停止を示唆。グリア米通商代表部(USTR)代表も同日、11月1日から100%の対中追加関税を発動する方針を改めて表明した。 また、米上院は14日、与党共和党が主導するつなぎ予算案を再び否決。医療関連予算を巡る与野党の溝は依然として埋まらず、連邦政府機関の一部閉鎖は3週目に入った。これらが安全資産としての金買いを支援し、相場はじりじりと上昇。未明には一時4235ドル付近の高値を付けた。また、14日のパウエル連邦準備理事会(FRB)議長の講演を受け、今月28─29日の連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利下げが行われるとの観測も、利回りを生まない金の強材料となっている。

金相場は速いペースで上昇を続けており、市場では短期的な調整を挟みつつ、5000ドルの大台を目指すとの見方も浮上している。

NY貴金属:

<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、米中対立激化への懸念や供給過剰への警戒感が根強い中、続落した。

先週の中国によるレアアース(希土類)輸出規制強化策の発表を受け、トランプ米大統領は11月1日から中国製品に100%の追加関税を課す意向を表明した。貿易を巡る米中対立激化を警戒して、投資家のリスク回避姿勢が強まっている。この日は前日に約5カ 月ぶりの安値を更新した後を受けた買いに一時59ドル台に浮上。ただ、リスク警戒感は根強く、高値圏で利益確定の売りが出てマイナスに転じた。

世界的な供給過剰予想もなお相場を下押しした。国際エネルギー機関(IEA)は14日公表した月報で、世界石油市場が来年に日量400万バレルの供給過剰に陥ると予想し た。石油輸出国機構(OPEC)加盟・非加盟の産油国で構成する「OPECプラス」などの供給が増える一方、需要が引き続き低迷するとの見方を示している。

NYMEXエネルギー:

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