世界初の「有機ELディスプレイをマルチチャンネルスピーカーにする技術」が誕生、個々のピクセルから異なる音を出すことに成功
ディスプレイに関する技術は解像度やハイダイナミックレンジ(HDR)、色精度などの点で大幅な進歩を遂げてきましたが、成熟しつつある状況にあるため、業界は視覚・聴覚・触覚などの多感覚入力をディスプレイに統合することによるブレイクスルーを求めています。そんな中で、韓国・浦項工科大学校(POSTECH)が、世界で初めてとなる「有機ELディスプレイ(OLED)をマルチチャンネルスピーカーとして使えるようにする」技術の開発に成功したことを発表しました。
Localized Sound‐Integrated Display Speaker Using Crosstalk‐Free Piezoelectric Vibration Array - Hong - Advanced Science - Wiley Online Library
https://advanced.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/advs.202414691전자 최수석 교수팀, “고화질 OLED 디스플레이, 고품질 소리까지” 시각+청각 위치별 통합 디스플레이 혁신 | 가치창출대학 POSTECH
https://www.postech.ac.kr/kor/research-industry-academia/research-results.do?mode=view&articleNo=22772ディスプレイ技術が進化する中で、いまだにほとんどのディスプレイでは、かさばるサウンドバーやマルチチャンネルスピーカーは外部接続が必要となることが設計上の課題となっています。
POSTECHのチョ・セソク(최수석)教授と博士課程のホン・インピョ(홍인표)氏の率いる研究チームは、この課題解決のため、OLEDパネルに高度なサウンド機能を直接統合することを検討。OLEDのフレーム内に超薄型のピエゾを埋め込むことで、外部化することなく、電気信号を音の信号に変換できるようにしました。重要なポイントとして挙げられているのは、OLEDの薄型フォームファクタと完全に互換性がある点で、これによって、OLEDの各ピクセルが独立した音源として機能し、ピクセルベースのローカルサウンド技術が実現しているとのこと。
ラップトップやタブレット端末で使われているのと同等の13インチOLEDを用いたデモンストレーション映像も公開されています。250325 최수석 교수 연구팀_연구성과 관련 자료 - YouTube
この技術が実用化されれば、たとえば車内で、運転手がナビゲーション指示を聞く一方、同乗者は音楽を聴くことが可能になるとのこと。また、仮想現実やスマートフォンなら、ユーザーの頭や手の動きに音が動的に適応することで、臨場感や没入感を高められるそうです。 研究チームを率いるチェ教授は「ディスプレイは、視覚出力装置を超えて、視覚と音声の両方を活用する包括的インターフェイスに進化しています。我々の技術は、スマートフォンやノートPC、自動車のディスプレイで洗練された軽量設計を可能にし、没入感があり高品質オーディオを提供する次世代デバイスの中核機能になる可能性があります」と語っています。
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