米ミネソタ州の地元当局が協力すれば移民摘発「縮小」と 米政権の国境問題担当

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画像説明, トランプ政権の国境対策責任者トム・ホーマン氏

ドナルド・トランプ米政権は29日、ミネソタ州当局が協力するならば、同州で移民取り締まりにあたる連邦当局の活動を「縮小する」方針を示した。

政権の国境問題責任者を務めるトム・ホーマン氏は、同州ミネアポリスでの記者会見で、移民取り締まり作戦を継続すると誓ったが、「我々がここに投入している人数を減らせるようになる、常識的な協力を望んでいる」と述べた。

「我々は任務をまったく放棄していない。より賢く遂行しているだけだ」とも、ホーマン氏は述べた。

ミネソタ州では今月、ルネー・ニコール・グッド氏とアレックス・プレティ氏のアメリカ市民2人が、連邦職員によって相次いで殺された。一連の銃撃事件は地元の抗議行動と全米的な強い反発を引き起こした。与野党両党の連邦議会議員からも、一部の政権幹部の更迭を求める声があがっている。

トランプ大統領は27日、政府が同州での対応を「少し緩和する」と表明した。しかし、市内から連邦治安部隊の何人が、いつ撤収するのかは明らかになっておらず、政権が作戦をどの程度縮小するのか、新たな疑問が生じている。

ホーマン氏は「トランプ大統領はこれを直すよう求めていて、私はこれを直すつもりだ」と述べた。

ミネソタ州のティム・ウォルズ知事とミネアポリスのジェイコブ・フレイ市長は、州都地域から連邦捜査官を完全に撤収させるよう求めている。同州はまた、連邦判事に対し、移民捜査官や国境警備隊員、国土安全保障省(DHS)職員など約3000人が関与する「メトロ・サージ」作戦の停止を求めている。

一方、政権側は地元当局を非難し、連邦捜査官や職員と協力すべきだと主張している。また、ミネアポリスが市職員による移民法執行を禁じる「サンクチュアリ・シティ(聖域都市)」政策を持っていることを批判した。

この1年で48万件以上の国外退去

ホーマン氏は29日、作戦の変更は州および地元当局がどの程度、連邦当局と協力するかに左右されると述べた。また、政権はフレイ氏とウォルズ氏の要求の一部に同意しないと話したが、具体的な内容については明らかにしなかった。

プレティ氏が24日に殺されて間もなく、ウォルズ知事はホワイトハウスと2度協議した。ウォルズ知事とフレイ市長はその後、トランプ氏とそれぞれ電話で話している。

ホーマン氏はこの日、政権がどのような変更に応じるつもりなのか、ほとんど明らかにしなかった。同氏は、ミネアポリスでの連邦当局の作戦がより「標的を絞った」ものになると述べたが、これについても詳細を語らなかった。

ミネアポリスでの取り締まりを「解決する」と誓いながらも、ホーマン氏は政権による移民取り締まり活動を擁護。国境警備を強化し、国外退去の対象として無登録移民を特定することが、アメリカをより安全にしたと述べた。

BBCがアメリカで提携するCBSニュースが入手した文書によると、DHS傘下の移民税関捜査局(ICE)は、トランプ氏が大統領に復帰した初年度に、48万件以上の国外退去を執行した。

これは、バラク・オバマ政権下の2012年に記録された41万件を上回っている。同文書によると、DHSは現在、7万5000人以上を拘束している。

トランプ氏はこの1年、不法移民の取り締まり強化という選挙公約を実行するため、主要都市に連邦捜査官や州兵を派遣してきた。これに対し、オレゴン州ポートランドやカリフォルニア州ロサンゼルス、イリノイ州シカゴなど民主党が主導する都市では、抗議行動や法的異議申し立てが相次いでいる。

グッド氏とプレティ氏の射殺事件をめぐる政権対応への不満は、ミネアポリス市内と首都ワシントンの連邦議会の両方で沸点に達するかに見えた。その状況下でDHSは26日、ミネソタ州での移民取り締まりを率いる米国境警備隊のグレゴリー・ボヴィーノ司令官を同州から引き揚げた。トランプ氏はその後、ホーマン氏に作戦の指揮を引き継がせた。

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画像説明, ミネアポリスのフレイ市長は、首都ワシントンの連邦議会を訪れた

ホーマン氏の29日の発言が、連邦議会議員らの怒りをおさめられるかは不明だ。

今では上下両院の複数の共和党議員が、射殺事件について調査を求めている。

一方、上院の民主党議員らは、次の予算案にDHSへの追加予算が含まれる場合はこれを認めないと主張。これによって連邦政府のつなぎ予算が成立せず、一部政府機関が閉鎖を余儀なくされることも辞さないと警告している。

29日には、上院の共和党議員7人が民主党に同調し、歳出法案に関する手続きを否決した。上院指導部とホワイトハウスはその後、予算案からDHS予算を外す案を協議。連邦政府が他の政府機関に予算を回せるようにすると共に、DHSのための別の歳出計画を交渉する時間を確保しようと話し合っている。

民主党の上院議員らは、DHSに予算を認める法案には、ICEの戦術を制限する条項が必須だと主張している。これには、捜査官の覆面着用禁止や、裁判所令状のない捜索・逮捕の禁止が含まれる。先に公開された内部資料から、ICEは捜査官に令状なしの捜索を許可していることが明らかになっている。

民主党のチャック・シューマー上院院内総務は29日の議会で、「今が正念場だ」と述べた。

「ICEの行為は、法律の範囲外で行われている国家公認の暴力であり、止めなければならない」

トランプ氏はこの日の閣議で、ホワイトハウスは政府閉鎖回避に向けて民主党と協力していると述べた。

首都ワシントンで開かれた市長会議でフレイ氏は、ミネアポリスでの連邦作戦の終了を引き続き求めた。同氏は連邦議会議事堂も訪れた。

フレイ氏によると、ミネアポリスには3000~4000人の連邦職員が投入されており、これは市の警察官600人を大きく上回っている。ホーマン氏は29日、最新の人数を問われてもこれに答えなかった。

「人々が無差別に街頭から連れ去られている」とフレイ氏は述べた。

「その後には、アメリカ市民が自宅から引き離されている。メキシコやエクアドル、ソマリア出身のように見えるというだけの理由で」、「これはアメリカのやり方ではない」と、同氏は強調した。

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