大阪カジノ構想、日本初IRついに着工-提案から25年、アジア最大へ

カジノ構想が提案されてから約25年を経て、日本初の統合型リゾート(IR)施設が24日、大阪市で着工された。アジアで最も高収益のカジノとなる可能性がある。

  運営事業者の米カジノ運営会社MGMリゾーツ・インターナショナルオリックスの幹部と、地元議員らが、大阪湾にある人工島の夢洲で行われた起工式に参加した。日本のカジノ構想を巡っては遅延や不祥事が相次いだが、実現に向け大きな一歩を踏み出した。

  日本MGMリゾーツの代表執行役員社長CEO(最高経営責任者)、エドワード・バウワーズ氏は「このプロジェクトに15年以上にわたって取り組んできた」とし、「これまでの道のりは決して平たんではなく、開業まで、そしてその後もさまざまな課題が立ちはだかるだろう」と述べた。

  日本MGMとオリックスの合弁会社が手がける1兆2700億円規模のプロジェクトは、2030年の開業を予定している。年間約59億ドル(約8400億円)の総収入を見込み、アジア最大のカジノとなる可能性がある。ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)によると、予想通りなら、世界では、米国とマカオに次ぎ第3位となる。昨年時点ではギャラクシーマカオがアジア最大のカジノで、総収入は約45億ドルだった。

  開発プロジェクトにはカジノのほか、三つのホテル、会議・コンベンション施設、コンサートホール、飲食・ショッピング施設が含まれる。建設場所は、現在開催中の「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」の会場に隣接している。政府は同地域へのアクセスインフラ整備に数千億円を投じた。

  CLSAのアナリスト、ジェイ・デフィバウ氏は「彼らは障害を乗り越えた」と指摘。「実現には強力な政治的リーダーシップが不可欠だった。大阪当局がそれを実現した。実現に向け多大な政治的資本を投じるリスクを負う必要があった」と話した。

  MGMとオリックスによる大阪のカジノ構想は、30年の開業時には日本市場で実質的に独占状態になる見通しだ。日本政府は三つのカジノライセンスの発行を認めているが、現時点で承認されたのは一つだけだ。長崎県が申請したIR整備計画は23年に不認定となった。

  市民の反対や規制の不明確さなどカジノを巡る当初の懸念はおそらく過去のものになっている。MGMとオリックスのプロジェクトには、大阪の地元企業からの投資に加え、三菱UFJフィナンシャルグループと三井住友銀行が主導する5300億円の融資契約が組み込まれている。

  しかし、アナリストによると、今後5年間は、困難な状況に直面する可能性がある。建設業界の深刻な人材不足や、アジアの他市場との競争の激化、オンライン賭博の普及に伴う課題などが浮上するためだ。

  米ハードロック・インターナショナルの元アジア担当幹部で、「Japan Casino Uprising: 茨の楼閣」の著者、ダニエル・チェン氏は、ライセンスを取得しているため、計画の実現は「ほぼ間違いない」とした上で、「30年秋の開業という目標に間に合うかどうかは不透明だ。なぜなら日本でこのような施設を建設した前例がないからだ」と述べた。

  日本は18年に安倍晋三元首相の下でカジノ合法化とIR建設に関する法整備を実現したが、国内でのカジノ誘致を巡る議論は1999年にさかのぼる。当時、東京都知事だった石原慎太郎氏がカジノ誘致構想を提案した。

  一部の地元住民は依然としてカジノ構想に反対している。ある団体は昨年、IR用地に関する土地改良事業費用の支払い差し止めなどを求めて大阪市長らを提訴した。

  同訴訟の法廷担当の井上眞理子氏は、「問題のあるギャンブラーについて、警察のコスト、司法のコスト、収監のコストなど社会的コストが非常に大きい」と指摘。地元で生まれ育ち、「郷土に対する愛着があり、何が何でもIRを造らせないという決意でいる」と話した。

  一方、式典に出席した地元議員や企業幹部らは地元経済への恩恵が見込めると説明。大阪府知事の吉村洋文氏は「大阪経済がさらに成長する起爆剤になると確信している」と述べた。

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