迷走の5年間を経て――MicrosoftがWindows 11の“不都合な真実”を認め、改善を宣言した背景

 Windows 11が、何度目かの方針転換を迎えている。  既報のレポートでも触れられているが、Microsoftは3月20日(米国時間)にWindows Insider Blogにおいて「Our commitment to Windows quality」と題した投稿を行った。 【写真】新しくなったFeedback HubのUI/UX  この中でWindowsならびにSurfaceなどを統括するパヴァン・ダヴルリ(Pavan Davuluri)氏は「新機能追加よりもOS自体の品質や使い勝手の改善に重点を置く」ことを宣言し、2026年を通してこの点に力を注いでいくことになると述べている。  今回は、ダヴルリ氏が触れたWindows 11で今後実施される改良の内容ならびに、周辺情報を整理していく。

 今回発表されたWindows 11改善策のうち、タスクバーに関するものは以前にうわさになっていた内容をほぼ踏襲している。  上下/左右好きな場所に配置が可能になる見込みで、従来の作業環境によってデフォルトの配置を変えていたユーザーにとっては朗報だろう。配置場所だけでなくサイズ変更も可能で、スタートメニュー内の「おすすめ(Recommended)」欄も、より最適なものがピックアップされるようになる他、表示そのものをオフにしてシンプルにできるとのことだ。  Windows Centralのザック・ボーデン氏によれば、このタスクバーのサイズ変更ではよりアイコンサイズを小さくすることが可能で、例えば現在は日付と時間で2段表示になっている部分を1列にまとめられるなど、作業領域を圧迫しない程度の変更ができるようだ。  また同氏によれば、タスクバーの位置変更はMicrosoft内部で最優先事項として扱われているらしく、かなり早期に投入されるとみられる。  実際、ダヴルリ氏自身がタスクバーの位置変更について「Repositioning the taskbar is one of the top asks we’ve heard from you.(利用者からの意見として最も言われているものの1つ)」と言及しているのだが、リリースから5年近くを経たWindows 11において、おそらくリリース初期からずっと言われ続けているにもかかわらず、Microsoftはその意見を無視し続けてきた。  実際、その不満は「WindowsによりCopilotの機能を搭載していく」といった趣旨の発言に対して大量のネガティブな反論が届く形で爆発し、コメント欄を封鎖する事態まで招いたわけで、Windowsの開発陣にとって相当に痛い経験だったと思われる。  同時に作業スピードを遅くしたり、邪魔になりがちな広告やウィジェットの露出を抑制し、より制御できるような形での変更を表明している。もともとタスクバー固定化とスタートメニューの悪評の原因になっていた部分でもあり、最終的に同社がそれを認めた形だ。  そしてもう1つは、“不要な”Copilot機能の削除だ。Snipping Tool、Photos、Widgets、Notepadを手始めにCopilot機能の削除を進めていくとしているが、おそらくは使わなければ追加された機能そのものはそれほど作業の邪魔にはならないと思われ、どちらかといえばユーザーの不満は「AIばかりにフォーカスしすぎてOSの使い勝手や安定性がおざなりになっている」という部分にあると筆者は考えている。  そのため、WindowsにおけるAI(特にCopilot)戦略を見直すのと同時に、Windows Updateやファイルエクスプローラーといった普段の作業に直結する部分の改良が打ち出されているのも、そうした不満の声に対応するためと考えられる。  まずWindows Updateについては、再起動頻度を月1回にまで抑制し、アップデートの延期についてもより柔軟に行えるようにする。  従来は夜に作業を中断して朝作業を再開するとWindows Updateが走っていて作業内容が消えたり、中断させられたり、あるいはアップデートのため再起動に想定よりも長い時間がかかり、それに不満を持つユーザーは少なくないはずだ。  ところが今回の場合、ボーデン氏の記事を含む複数のメディアが「Microsoft will soon let you postpone Windows 11 updates forever if you don't want them(ユーザーが望まなければMicrosoftは間もなくWindows 11のアップデートを永久に“延期”できるようにするだろう)」と報じているように、事実上無期限のアップデート停止を可能にするようだ。  Receiving updates should be predictable and easy to plan around, so we’re giving you more control. This includes the ability to skip updates during device setup to get to the desktop faster, restart or shut down without installing updates and pause updates for longer when needed, all while reducing update noise with fewer automatic restarts and notifications.  上記はBlog記事中の引用だが、ポイントとして挙げられるのが「(待機中の)アップデートのインストールなしに再起動やシャットダウンが可能」「必要であればアップデートを停止できる」の2つだ。  Windows 10以降はWindows Updateの適用延期が一定期間(最大5週間など)までといった制限があり、アップデートそのものは強制(Mandate)だったが、この制限が事実上外れることを意味する。  また、起動不能のトラブルの原因となりやすいWindows Updateの適用なしで再起動を可能にする仕組みも、近年多発している起動不可のトラブルに対する不満解消の一助になるかと思われる。  ただし、こういった運用は企業システムにおいてポリシー上で制御される可能性があり、実際に機能が導入されたとしても、どのような形で運用が行われるかはしばらく様子を見る必要があるかもしれない。  ファイルエクスプローラーについては、事実上バグに近い動作と言えるだろう。例えば、作業中にエクスプローラーのウィンドウ部分がホワイトアウトして見えなくなり、再描画されて入力内容やスクロール位置が初期状態に戻されるといった状態に加え、レアな現象では背後に回っていたエクスプローラーのウィンドウで情報のリフレッシュが起きると突然前面にポップアップしてくるなど、操作に大きな支障をもたらす一連の現象があり、これを改善することが盛り込まれている。  右クリックのコンテキストメニューを開くのに時間がかかる(あるいは途中で消える)といった現象、OneDrive同期やバックエンド処理のタイミングでエクスプローラーの動作に支障があったり、複合的な要因による不都合があったりと、とにかくエクスプローラーにまつわる問題を解決していくのが目標となる。

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