米関税の影響、かなりの不確実性が残っている=高田日銀委員

 7月3日 日銀の高田創審議委員は3日、津市で行った金融経済懇談会後の記者会見で、米国経済を巡る不確実性について、高関税の影響のみならず、減税や規制緩和も踏まえて考えていくべきだと述べた。写真は2024年3月、都内で撮影(2025年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[津市 3日 ロイター] - 日銀の高田創審議委員は3日、三重県津市で行った金融経済懇談会後の記者会見で、米国の関税の影響について「そこまで悲観的な状況ではないが、かなりの不確実性が残っている」と述べた。その上で、米国経済について、高関税の影響のみならず減税や規制緩和も踏まえて分析していくべきだと指摘した。減税や規制緩和は米国の需要を下支えするとみられているが、日銀の年内の追加利上げが可能になるのかは「予断を持って語るべきことではない」と話した。

高田委員は午前のあいさつで、金融政策運営について「足元は利上げのいったん休止局面」だが、「一定期間の様子見の後」に再び金融緩和度合いの調整を続けていく状況だと述べていた もっと見る

高田委員は「(相互関税がもたらす)『台風』が過ぎ去ったとの判断までできる状況ではない」とした。関税交渉、減税を巡る米議会での審議、米雇用統計と注目イベントが続くが、日銀の動きと「1つ1つ明確に紐づけするようなことはなかなか難しい」と話した。

高田委員はあいさつで、物価目標の実現は「目前に迫りつつある」と述べたが、日銀展望リポートに記された「27年度までの見通し期間の後半」より実現が早まるのかは明言を避けた。物価目標がいつ実現するのか、海外情勢を巡る不確実性が大きい中では予断を持って語るのは難しいと話した。

国債買い入れについては「各ゾーンの市場の動向や、背後にある需給状況を判断しながら対応していく」と述べた。超長期債を含め、今後も予見可能性と柔軟性のバランスに配慮しながら対応していくとした。

国債買い入れを巡っては、7―9月の残存年限別の買い入れ計画では残存10―25年の発行額に対する買い入れ額の比率が50%で、他のゾーンより比率が高い。日銀は買い入れの減額に当たり、予見可能性の観点から買い入れ比率を重視し、比率の高いゾーンから減額してきており、市場では10―12月は10―25年の買い入れ額が減額対象になるのではないかとの見方が出ている。

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