AMDがスマホ需要減退で空いたTSMC 5nm枠を確保。サーバー向けCPUの出荷を拡大

AMDは2026年第1四半期決算カンファレンスコールで、サーバーCPU部門の成長が「出荷台数主導」によるものであることを明らかにしました。CEOのLisa Su氏は質疑応答でZen 5世代のTurinに加えZen 4世代のGenoaも大量出荷していると言及しており、価格上昇よりも出荷台数の拡大が成長を牽引している状況です。

Lisa Su氏の発言は、アナリストから受けたサーバーCPUの成長要因に関する質問への回答で明らかになったものです。同氏は、Q1のサーバー部門が前年同期比でASP(平均販売価格)と出荷台数の両方で上昇したものの、実際の成長は「はるかに出荷台数主導」だったと指摘しています。

具体的には、ハイエンドのZen 5世代Turinファミリーだけでなく、Zen 4世代のGenoaファミリーも「かなり多く出荷している」とのことで、新旧両世代のEPYCが並行して出荷を伸ばしている状況です。

Lisa Su氏は今後の見通しについて、Q2および下半期に向けて売上成長を見込んでいるとした上で、ASP上昇分も「少し含まれる」と認めつつ、価格戦略の基本姿勢については「サプライチェーンの逼迫によりコストは上昇しており、AMDは値上げの一部を顧客とシェアしている」と説明しています。一方で同氏は「我々は長期的視点で展開しており、目標はより多くのユニットを、はるかに多く出荷することだ」とも述べました。このため、成長の大半は出荷台数主導で、ASP上昇は「インフレ圧力をカバーするため」に限定されると見られ、AMDは値上げ幅を抑えつつ出荷台数の拡大で成長を確保する構えとみられます。

CPU不足が長期化していたなかでAMDがサーバー向けEPYCの出荷を継続的に拡大できる環境が整ったことは、データセンター向けCPUの納期遅延が一定程度緩和される可能性を示唆しているといえそうです。

EPYCの出荷拡大を支える背景には、TSMCの4nmおよび5nmプロセスにおける生産能力配分の変化があると考えられます。エントリーから中価格帯のスマートフォンはメモリ価格高騰の影響で需要が冷え込み、これに伴いMediaTekとQualcommは同プロセスでのSoC生産を削減する判断を下したことが報じられています。削減規模はウェハー換算で20,000〜30,000枚、SoCに換算すると1,500万〜2,000万個に相当する見通しで、TurinはTSMC 4nm、GenoaはTSMC 5nmで製造されているため、AMDがこの空き容量を活用して出荷を伸ばせる環境にあるといえます。

半導体業界では特定セグメントの需要減退により別セグメントの調達条件を改善する展開が繰り返されてきましたが、今回はメモリ危機によりスマホが追いやられ、サーバー向けCPU供給を後押しするという結果になっています。

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