米中関係修復ならドル上昇、米指標にも注目=来週の外為市場
[東京 9日 ロイター] - 来週の外為市場でドル/円は、週末に予定される米中の高官協議や米国の指標内容次第で上下双方向に急変するリスクがある。米中関係の修復に進展があればドルの上昇が見込まれる一方、足元で期待が先行する中で失望に終わる可能性も指摘される。米国では複数の重要指標が発表予定で、米連邦準備理事会(FRB)の政策判断の手掛かりとして注目が集まっている。
予想レンジはドルが143━148円、ユーロが1.11―1.14ドル。
週末の米中高官による貿易協議が注目されており、「悪化していた米中関係の修復で進展があればドル買い」(上田東短フォレックスの阪井勇蔵・営業企画室室長)になるとの見方がある。足元で期待が高まっているだけに、期待外れなら「リスクセンチメントが悪化し、一時的にドルが売られる」(三井住友銀行市場営業部為替トレーディンググループの納谷巧グループ長)可能性もある。
米国では13日に4月消費者物価指数(CPI)、15日に卸売物価指数(PPI)と小売売上高など、重要指標の発表も予定されている。パウエルFRB議長が利下げに慎重姿勢を示す中、インフレが根強いかを見極めることになる。
9日までの1週間でドルは142円台から146円台まで一気に上昇するなど「スピード感のある相場」(上田東短の阪井氏)が続いており、急な値動きも警戒される。
過去最大級に膨らんだ投機筋の円買いの巻き戻しも、一つの注目点となる。指標が堅調な米国では利下げ観測が後退し、日銀も利上げに動けない中、膨らんだ円買い仕掛けが「巻き戻される方向にじわり動く」(三井住友銀の納谷氏)見通し。
4月にみられたパニック的なドル売りはいったん収まっているものの、貿易構造の変化をもたらす米国の関税政策の裏で、その変化に合わせた調整が進んでいるとみられることがドルの重しになっている。各国がドル偏重になっている貿易構造の変化を見据え始めればドル離れが徐々に進み、「ボディーブローのように効いてくるドル売りのフローが出続ける可能性がある」(三井住友銀の納谷氏)という。
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