お値段「47億円」で話題 文京区の「超大豪邸」が売却されていた 新しいオーナーと気になる購入価格

 その豪邸が注目を集めたのは、2017年のこと。所有者が地元の不動産会社に仲介を頼み、1月、不動産紹介サイト「SUMMO」に情報がアップされた。売却価格は何と「47億5000万円」。すぐにこの超高額値段がネット上で話題になると、現場には見物人も出現し、マスコミも大勢駆け付ける事態となった。仲介の不動産会社には、取材依頼が30件も舞い込んだという。  売り文句は、 「大和郷に佇む世界各地の大理石をふんだんに使用した耐震構造100年の長期優良住宅」  土地面積は約286坪。建物はコの字型の構造で、13LDKの2階建て、住宅部分の床面積は約268坪ある。建物の中には約33畳のダイニング、約71畳のサロンがあり、内観は中世のヨーロッパ風。石畳の中庭もついている。外観は白い大理石の外壁、高さ4メートル弱、幅3メートル弱はありそうな鉄の門が目に付き、まるで迎賓館とでも言うべき威容を誇っていたのだ。

 物件の所在地は文京区本駒込6丁目。特別名勝の庭園「六義園」に隣接する地域である。ここは通称「大和郷(やまとむら)」と呼ばれる由緒正しき高級住宅地だ。三菱財閥を率いた岩崎家が100年ほど前に開発し、以来、加藤高明、若槻礼次郎、幣原喜重郎の3人の歴代首相など数多くのエスタブリッシュメントが居を構えてきた。近年では、法相、文相などを務めた故・鳩山邦夫氏の邸宅がここにあったことでも知られている。  その一角に件の豪邸が現れたのは、2015年のこと。「週刊新潮」(2017年1月26日号)の取材に、近所の住人がその由来をこう語っている。 「あそこには、元々日本庭園のある古い家が建っていて、おばあさんが一人で住んでいた。が、数年前に板橋区に住む病院経営者の資産管理会社が購入。2015年夏くらいから工事が始まり、その年の12月に豪邸が完成したのよ」  しかし、どんな理由があったのか、件の「病院経営者」は、意匠を凝らした豪邸に住まうことのないまま、その2年後に「新築未入居」で売りに出したのだ。


Page 2

 それにしても、47億円とはとてつもない額だ。例えば、楽天の三木谷浩史会長が渋谷区松濤に豪邸を建てた時でも報じられた費用は「30億円」。いくら一等地だとしても、この金額は妥当なのか。当時、地元の不動産会社に聞いたところによると、 「この辺の土地は、現在は坪350万円。高くて400万円かな。仮に400万円として、土地代は約11億4000万円です。つまり、建物は約36億円ということになります」  その建物について、さる不動産コンサルタントはこう語っていた。 「この物件に使われた材料を聞くかぎり、建築費用は坪単価400万円。床面積268坪で、約10億7000万円です。土地代と建築費用を合わせて約22億円になる。残りの25億円が調度品ということになる」  つまり、調度品の価値によって、驚愕の金額に跳ね上がったというわけだ。  確かにサイトに載った説明を見ると、家具はイタリア製、英国製、スペイン製で、照明器具はルーマニア製、ビリヤード台は米国製、ピアノはオーストリア製、との記述もある。 「材料は全て外国から取り寄せたため、日本のものは一切使っていません。職人さんも、わざわざ向こうから来ていました。それであんな高い価格になったそうです」(近所の老人)

 前出のコンサルタントはこうも語っていた。 「通常、この手の高額物件を買える顧客を持っている三井不動産や三菱地所系の、大手仲介会社に頼まないと売れませんよ。街の不動産屋に仲介を頼む方が間違いです。どう見てもこの建物は、企業の迎賓館や外国の大使の自宅や別邸向きです。このご時世では、なかなか売れないと思います」  実際、騒ぎになったのを気にしてか、程なく物件は売り止めに。紹介サイトからも消えてしまった――。これが騒動の顛末であった。

 それから9年――。現地を訪ねると、「白亜の迎賓館」は姿を消し、現地は工事の真っ最中であった。登記簿によれば、昨年4月に当該の土地と建物は、前述の資産管理会社から「モリモト」(東京都千代田区)に売却されていた。モリモトは、都内を中心としたマンション分譲などを手掛ける不動産会社。「ディアナコート」「ピアース」などのブランドで、デザインにこだわった高級マンションを手掛けることで知られる。  現地に提示されている「建築計画のお知らせ」によれば3階建てのマンションが建つとのこと。工事完了は来年12月となっている。  それにしても、建築から売却されるまでの10年間、一体、前任のオーナーはいくらの維持費を支払っていたのか。当時の記事には、年間約2000万円かかるとの試算もあった。さらに固定資産税がのしかかっていたはずだが……。  モリモトに今後の利活用の方法を尋ねると、 「弊社の基幹事業である分譲マンション用地として活用いたします」 (モリモトホールディングス・グループ広報部)  では、気になる購入のお値段は? 2017年と比べ、昨年の都内の公示地価は(平均坪単価で)1.3倍に上がっている。また、当該の物件をモリモトが購入した際、債務者を同社の関連会社として、大手銀行が約20億円の抵当権を設定しているが……。 「売主様との守秘事項にあたりますので、経緯、費用は一切お答えが叶いません」 (同)  「47億豪邸」の跡地に佇む高級マンション。果たして、その住み心地は? 

新潮社

関連記事: