NY市場サマリー(11日)ダウ・S&P続落、ドル上昇、2年債利回り5カ月ぶり高水準
<為替> 終盤のニューヨーク外為市場では、ドルがユーロと円に対して上昇した。この日はイランによる新たな攻撃でタンカーやエネルギー貯蔵施設が被害を受けるなどしたため、中東紛争の激化を巡って投資家は依然として神経質になっている。ドルは2月末以降、安全資産への逃避から対ユーロで約2%上昇している。
ドルは 対ユーロで0.4%上昇した。ドル/ 円JPY=は0.5%上昇し158.90円となった。
ロンドンのバリンジャー・グループの外為市場アナリスト、カイル・チャップマン氏は「イラン戦争とエネルギー価格への影響は依然として外為市場の主な焦点だ。イランがホルムズ海峡の船舶を攻撃し、機雷敷設を試みているため、戦争の早期終結への楽観論は再び薄れつつあるようだ」と指摘した。
米労働省が11日発表した2月の米消費者物価指数(CPI)は前年比2.4%上昇し、1月の伸び率と一致した。しかし、エネルギー価格の高騰を受けて、トレーダーらはこれらのデータよりも、今後数カ月間のインフレに対する懸念に注目した。
投資家らは、今後数カ月でインフレ率が急上昇すれば、連邦準備理事会(FRB)による追加利下げは困難になると指摘した。
NY外為市場:
<債券> 米金融・債券市場では国債利回りが上昇した。原油高を背景にインフレ懸念が高まる中、米連邦準備理事会(FRB)による利下げ観測が後ずれしたことで、2年債利回りは5カ月ぶりの水準に上昇した。
労働省が朝方発表した2月の米消費者物価指数(CPI)は前年比2.4%上昇、前月比0.3%上昇。中東情勢の緊迫化を背景にガソリン価格が上昇し、米国の物価は押し上げられるとみられている。
INGの米州リサーチ兼グローバル金利・債券戦略責任者、パドレイク・ガービー氏は「2月のCPIはすでに過去のものだ」とし、「米国とイスラエルによるイランに対する軍事攻撃など、現在起きていることを踏まえると、物価上昇圧力は増していく」との見方を示した。
中東での攻撃の応酬が長期化するとの懸念から、市場ではFRBが追加利下げに動く時期の予想は9月に後ずれ。戦闘が長期化すれば、原油高で経済成長が一段と下押しされるとの懸念も出ている。
モルガン・スタンレーのエコノミストは、「原油高による総合インフレ率の上昇をFRBが一時的なものと見なすことが前提」とした上で、年内の利下げ回数は2回になると予想。同時に、需要が予想以上に減速すれば、大幅な利下げに踏み切る可能性もあるとした。
米金融・債券市場:
<株式> 米国株式市場はダウ工業株30種とS&P総合500種が続落して取引を終えた。米国とイスラエルによるイラン軍事作戦の激化とその影響が材料視された。朝方発表された米消費者物価指数(CPI)はほぼ予想通りの内容となった。
石油供給を巡る懸念が綱引きする中、ほぼ終日不安定な展開となった。ホルムズ海峡付近で船舶への攻撃が続く一方、国際エネルギー機関(IEA)は加盟国による4億バレルの戦略石油備蓄放出で合意した。
半導体株が買われ、ナスダック総合は小幅に上昇して取引を終えた。
米労働省が発表した2月の消費者物価指数(CPI)は前年比2.4%上昇し、1月の伸び率と一致した。米連邦準備理事会(FRB)が目標とする2%まで0.5%ポイント以内に入ったが、インフレを加速させる恐れのあるイラン紛争開始前のデータであることから、市場は反応薄だった。
イランの精鋭部隊「イスラム革命防衛隊」の広報担当者が11日、原油価格が1バレル=200ドルに達する覚悟をするよう警告したことを受け、インフレへの警戒感が強まった。
米国株式市場:
<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物相場は、中東情勢の緊迫化を背景とした「有事のドル買い」が続く中で売りが優勢となり、反落し た。中心限月4月物の清算値(終値に相当)は、前日比63.00ドル(1.20%)安の1オンス=5179.10ドル。
主要な石油消費国でつくる国際エネルギー機関(IEA)の加盟32カ国は、過去最大の計4億バレルの備蓄協調放出を全会一致で決定した。ただ、米軍が駐留する湾岸諸国やイスラエルは11日もイランからのミサイルや無人機攻撃にさらされており、10日にはアラブ首長国連邦(UAE)にある世界最大規模の製油所が操業を一時停止したとの報道があった。トランプ米大統領は週初に戦闘の早期終結を示唆したものの、中東情勢を巡る不透明感は払しょくされるには程遠く、原油先物相場は再び上昇。こうした中で外国為替市場では「有事のドル買い」が先行し、ドル建てで取引される金の割高感が生じたことから、金は売りに押される展開となった。
米労働省が11日に発表した2月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比2.4% 上昇した。伸び率は前月から変わらずで、市場予想と並んだ。ただ、中東情勢の悪化を背景とした原油高に加え、「CPIの詳細は今後のインフレ動向について楽観視できないことを示唆している」(RBCエコノミクスの主任米国エコノミスト、マイク・リード氏) との見方から、米連邦準備理事会(FRB)による利下げが後ずれするとの観測も根強い。
NY貴金属:
<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、反発した。国際エネルギー機関(IEA)加盟国が過去最大の備蓄協調放出を決定したものの、相場の押し下げ効果は見られなかった。中東からのエネルギー供給停滞不安は 払しょくされず、米国産標準油種WTIの中心限月4月物の清算値(終値に相当)は前日比3.80ドル(4.55%)高の1バレル=87.25ドル。5月物は3.97ドル高の86.07ドルだった。
主要な石油消費国でつくる国際エネルギー機関(IEA)の加盟32カ国は11日、米イスラエルとイランの紛争で高騰する原油価格の安定化を目指し、備蓄を協調放出する措置を全会一致で決定した。規模は過去最大の計4億バレルと、2022年のウクライナ危機時の2倍超に相当。ただ、ロイターによると、これは世界の生産量の約4日分、ホルムズ海峡を通過する原油総量の16日分程度という。
調査会社の分析では、湾岸諸国の石油精製能力のうち、10日までに日量約190万バレルが停止し、製油所稼働率はさらに低下する見込み。また、ホルムズ海峡やその付近で、 貨物船など3隻が新たに攻撃を受け、戦闘開始以来少なくとも14隻が被害を受けたもよう。イランが機雷敷設を始めたとされる中、米海軍は現状リスクが高過ぎるとして、海運業界からのタンカー護衛の要請を拒否しているとも伝わり、長期の供給停滞不安から買いが再燃した。
NYMEXエネルギー:
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