AIブームを相殺した二つの失政 実感乏しい「トランプ景気」
「今や米国は黄金時代を迎えている」「米国史上かつてないほど良い状況だ」――。トランプ大統領は20日の中西部カンザス州での演説で、米経済の「活況」を何度も強調した。
目前に迫る中間選挙で苦戦が伝えられる中、全米各地での遊説で聴衆に印象づけようと躍起になっている。
11月3日の米中間選挙は、第2次トランプ政権への審判の機会となる。米国の有権者の評価対象となる約2年間を検証した。
AIブームで好調な経済
米経済は全体で見れば堅調に推移している。
日本や欧州各国が低成長を続ける中、世界経済をけん引。国際通貨基金(IMF)は米国が2027年にかけて2%台の成長率を維持すると見込む。失業率も低水準が続き、株価は上昇基調と言える。
大きな推進力は、急成長する人工知能(AI)だ。
普及と開発に欠かせない半導体を含め、オープンAIやグーグル、エヌビディアなど米企業の好業績が目立つ。
テクノロジー企業による大型投資が経済を下支えしている面もある。トランプ氏も中国との覇権争いを念頭に「AIで勝った者が全てを制する」と鼻息が荒い。
悪化したインフレ
ただ、国民目線で見える景色は全く異なる。
物価上昇(インフレ)が収束する気配が見られない。5年半以上も年率2%を超える高インフレが続いたことで生活負担は増すばかりで、経済成長の実感は乏しい。
そもそもトランプ氏は生活費引き下げを公約に掲げ、その期待を一身に背負って大統領に返り咲いた経緯がある。
ところが、9月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比3・7%増だった。物価を引き下げるどころか、トランプ氏の2期目就任当初(25年1月、3・0%増)より状況は深刻化した。
「トランプ関税」がなければ……
一連のインフレはトランプ政権の政策が招いた面が強い。
トランプ氏は就任直後、貿易赤字解消などを目的に、複数の法律を駆使して高関税措置を一方的に乱発した。関税で輸入価格が上昇したことで、食品や日用品の店頭価格を押し上げた。
ニューヨーク連銀が10月に公表した調査によると、一連の関税は発動後6カ月から1年かけて物価に波及した。連銀は26年2月の石油製品を除く消費財のインフレ率を2・9ポイント押し上げていたと推計し、「関税がなければ物価は…
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