トルコが中古タイフーン取得を検討中、最大64機保有に達する可能性も

英国とトルコはタイフーン20機を総額80億ポンドで売却する契約に署名したが、この契約には「20機の追加取得に関するオプション」「カタールとオマーンから24機の中古タイフーンを調達する可能性」が含まれており、この全てが行使されるとトルコのタイフーン保有は64機に達する。

参考:Turkey says it is waiting for sale contract from Qatar for Eurofighter Typhoon jet procurement 参考:Turquía está a la espera del contrato para comprar otros 24 cazas Eurofighter a Catar y Omán

英国とトルコは2025年7月にタイフーン輸出に関する暫定合意に署名、当時のスターマー首相も「英国にとってタイフーン生産は経済成長の原動力で何千人もの生活を支えている。トルコと数十億ドル規模の輸出契約を締結することで今後数年間に渡り2万人の雇用を維持することができる。そのため政府はトルコとの契約を確保するため全力を注いでいる。この契約は我が国の防衛産業を強化し、改革計画を推進し、この不確実な時代において英国と同盟国をより安全に保つ役割を果たすだろう」と声明を発表。

出典:Keir Starmer

ヒーリー国防相も「本日の合意はトルコがタイフーンを購入する上で大きな一歩になる。これは英国人労働者の利益のため新たな取引を確保するという政府の決意の現れだ。トルコがタイフーンを取得することでNATOの集団防衛能力が強化され、英国も労働者の雇用を確保することができ両国の産業基盤も強化されるだろう」と、トルコへの輸出交渉を実質的に主導するBAEも「我々は英国政府およびトルコ政府と緊密に協力し、タイフーンと関連機器の調達契約を締結する予定だ」と述べ、両国は2025年10月「タイフーン20機を総額80億ポンド=約1.7兆円で売却する契約に署名した」と発表した。

ジェーンズも「トルコと英国が26億ポンド規模の訓練・支援契約を締結した」「トルコが54億ポンドで発注したタイフーンは最も先進的なTranche 4+バージョンになる」「これはLong Term Evolution(LTE)パッケージを除外したTranche 5に相当する」「トルコ向けのTranche 4+にはECRS Mk.2 AESAレーダー搭載を予定しているものの、2030年の引き渡しには間に合わない可能性があるため、最初の引き渡し分にはECRS Mk.0 AESAレーダーが搭載されるだろう」と報じ、トルコはTranche4+(20機)と関連兵器パッケージの購入に54億ポンドを支払うため、1機あたりの取得コストは2.7億ポンド=約575億円になる。

The UK-Türkiye Typhoon deal is the largest fighter jet export in nearly 20 years.

Today @johnhealey_mp met with Yaşar Güler @tcsavunma in London to sign a multi-billion-pound training and support contract, marking the next phase of the landmark Typhoon deal. https://t.co/kdEUrcrKFD

— Ministry of Defence 🇬🇧 (@DefenceHQ) March 25, 2026

トルコメディアは「トルコ空軍のタイフーン調達は44機」「英国から新造機を20機、オマーンから中古のTranche 3を12機、カタールから中古のTranche 3Aを12機調達予定」「トルコ空軍のタイフーンにはトルコ製弾薬が統合される」「カタールから取得するTranche 3Aは英国でTranche 4にアップグレードされる」などと報じており、英国に支払う総額80億ポンドには「トルコ製弾薬の統合費用とTranche 3AからTranche 4へのアップグレード費用が含まれている」と考える方が辻褄が合いそうだが、これはトルコメディアの情報だけなので推測の域を出なかった。

トルコ国防省は22日「英国とのタイフーン調達契約の一環としてカタールからの売買契約書と訓練計画案が送られてくるのを待っている」と言及し、ロイターも「トルコはカタールとオマーンから24機のタイフーン調達を検討している。両国は英国との合意に基づき自国が保有するタイフーンをトルコに売却することができるが、そのためには別途の売買契約が必要になる。トルコ国防省は調達に関する協議は継続中で8月と9月に政府代表団が協議を行ったと明かしている」と報じている。

出典:BAE Systems

スペインのディフェンスメディア=Infodefensaも「トルコが英国と締結した合意には20機の追加取得に関するオプションが含まれており、カタールとオマーンから中古タイフーンを24機取得することも盛り込まれている。全てのオプションが行使されればトルコのタイフーン保有は64機に達する可能性がある」と報じ、この影響を最も色濃く受けるギリシャでは「我々の優位性はF-35Aの導入によって維持される」と見込んでいるものの、ギリシャ当局はラファールの追加調達を検討しているらしい。

“トルコがタイフーンを導入してもF-35Aの導入によって優位性を維持できるため、エーゲ海における勢力均衡に大きな変化はないと予想される。それでも新型タイフーンの取得とミーティアの運用能力が注目を集めており、トルコは現行のTranche 4ではなくドイツが発注した最新のTranche 5を取得する可能性がある。このバージョンはラファール F3よりも強力なレーダー、強化された電子戦システム、改良されたセンサーと兵器が統合されているため、国防当局はラファール F4もしくは開発中のF5の追加調達を検討している”

出典:Πολεμική Αεροπορία

ラファールとミーティアの組み合わせによる優位性はスペック的なもので、実際の戦闘にどれだけの優位性をもたらすのかは未知数だが、一般的な目線で言えば「せっかく確保した優位性がタイフーン導入で台無しになった」という危惧も、台無しになった優位性を取り戻すのにラファール F5を必要としている気持ちも分からなくはない。

戦闘機が戦場でもたらす結果はパイロットの腕とカタログスペックだけで決まるわけではなく、戦闘機もキルチェーン全体の一部でしかないため作戦効果は戦闘機単体よりもキルチェーン全体の優劣が左右するため、F-35Aはタイフーンよりも強い、Tranche 5に対抗するにはF5が必要になるという捉え方は非常にスペック的な発想だ。

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※アイキャッチ画像の出典:BAE Systems

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