【端末活用術】トランプ氏攻勢、ビットコインは10月「アップトーバー」
10月は暗号資産(仮想通貨)の上昇が期待されている。季節性や関連企業の株式公開(IPO)、資金流入の波、トランプ一族による後押しや規制面の要因が背景だ。
過去10年間、ビットコインは10月に平均23%上昇しており取引量拡大とともに、いわゆる「アップトーバー(Up+October、上り調子の10月)」を期待する機運が高まっている。
2025年の大規模IPOにはステーブルコイン発行会社サークル・インターネット・グループ、暗号資産交換業者ブリッシュ、ブロックチェーン融資プラットフォームのフィギュア・テクノロジー・ソリューションズなどがある。トランプ大統領の息子たちが保有するビットコイン採掘企業アメリカン・ビットコインは、9月3日の上場以来、急騰している。仮想通貨ETFへの資金流入額は過去3カ月間で220億ドル(約3兆2500億円)に達した。
こうした分析にはブルームバーグのIPO、CACT、ETF、IS、SEAGの各ツールを活用する。FFM(端末活用術)の記事をサブスクライブ(登録)するには「NSUB FFMSTORY」を実行する。
米国での25年最大のIPOを特定するには:
- コマンドラインに「ipo」と入力、「IPO - 株式公募」を選択
- 赤色のツールバーにある[アドバンス検索]をクリック、クイック入力は「IPO SU」
- 「取引所」をクリック、「取引所を検索」の欄に「us」と入力してクリック、 [更新]ボタンをクリック
- 「発行タイプ」をクリック、「新規株式公開」にチェックマークを入れる、[更新]ボタンをクリック
- 「期間」をクリック、「期間」を「年初来」に設定し、その下の「実行日」にチェックマークを入れる。 [更新と結果]をクリック
- グレーの[Deal List]タブをクリック
25年米国最大のIPOには、USDCステーブルコイン発行会社サークル・インターネットがある。4月にニューヨーク証券取引所でIPOして12億ドルを調達、株価は327%上昇した。 ブロックチェーンソフトウェア企業、ブロック・ワン傘下の機関投資家向け暗号資産取引所ブリッシュは7月18日に上場し、株価は72%上昇している。実世界の資産をトークン化する、ブロックチェーン融資とステーブルコイン・プラットフォームのフィギュア・テクノロジー・ソリューションズは8月18日の上場以来、45%上昇した。
トランプ一族の仮想通貨関連事業も市場センチメントを押し上げている。 北米最大のビットコイン採掘業者の一つであるハット8は、3月31日にすべての採掘資産をエリック・トランプ氏とドナルド・トランプ・ジュニア氏が出資するアメリカン・ビットコインに譲渡した。当時、ハット8の時価総額は12億ドルと評価されていた。「スピンオフしたアメリカン・ビットコインの時価総額は今や約64億ドルとなっている。
アメリカン・ビットコインの最新の株式売り出し計画を確認するには:
- コマンドラインに「corporate action」と入力し、「CACT - Corporate Action」を選択
- 左上の欄に「american bitcoin」と入力し、「ABTC US Equity」を選択
- 開始日を24年1月1日に設定すると、今年に入ってから同社の企業行動は非常に活発だったことがわかる
- 「取引所」欄を「US」に設定
- 「IPO/ADDL」の横の欄にチェックマークを入れる
- 「09/03/25 Equity Offering」ラインにチェックマークを入れる
アメリカン・ビットコインは9月3日に21億ドル相当のクラスA株の売り出しを申請、調達資金はビットコインの買い入れに充てられた。 引受会社は米BTIG LLC、ベンチマーク・カンパニー、加カナコード・ジェニュティ、米キャンターフィッツジェラルド、日本のみずほなど。同じ日にビットコイン採掘会社グリフォン・デジタル・マイニングと合併後、ナスダックに上場して株価は110%急騰した。
左上の「Back to Return」を押し、ティッカー欄に「BMNR US Equity」を追加すると、米調査会社ファンドストラットの創設者トム・リー氏が経営するブロックチェーンテクノロジー企業、ビットマイン・イマージョン・テクノロジーズが6月5日に上場し、9月23日に追加募集を申請したことが分かる。14%のプレミアムで3億6500万ドルを調達する計画だ。
ビットコインは先週に再び過去最高値を更新し、25年の上昇率は30%超となった。 米国規制当局は先月、複数の暗号資産トークンを追跡する投資商品を承認し、従来型の投資信託がETFを組み込むための土台を整えた。 米下院で可決され、上院で審議中のCLARITY法(デジタル資産市場透明性法案)は、暗号資産を対象とする初の連邦政府による法規制の枠組みを作ることを目的としている。
そうなれば、機関投資家は仮想通貨ファンドに殺到することになろう:
- コマンドラインに「etf」と入力し、「ETF - 上場投資信託」を選択
- 左上の「View」を「仮想通貨スポット」に設定
- グレーの[Flow]タブをクリック
- 「3M Flow」列の見出しをクリックしてランク付け
iShares Bitcoin Trust ETFは過去3カ月間で約110億ドルを集め、総資金流入額は218億ドルとなった。iShares Ethereum Trust ETFには79億ドル、Fidelity Ethereum Fundには8億ドルの資金が集まった。
最もポジションを増やした投資家を確認するには:
- 表の下にあるグレーの[Search Investors | IS]タブをクリック
- 「Total Pos Chg」の項目ヘッダーをクリックして、降順に並べ替え
機関投資家中、仮想通貨ETFのポジションを最も増やしたのはゴールドマン・サックスだった。 それにジェーン・ストリート・グループ、ブレバン・ハワード・キャピタル、ミレニアム・マネジメントが続いた。
「アップトーバー」(上り調子の10月)というバズワードが広がり、10月はビットコインにとって期待の月となっている。
- コマンドラインに「bitcoin」と入力し、「XBTUSD Curncy」を選択
- コマンドラインに「seasonality」と入力し、「Seasonality Chart」を選択、クイック入力は XBTUSD Curncy SEAG
- チャートの上にあるグレーの「ヒートマップ」タブをクリック「High/Low/Avg」のチェックマークを外す
- 「Years」の左側にあるボックスを「10」に設定
ビットコインは過去10年間のうち9回、10月に上昇がみられた。平均上昇率は22.5%だ。 25年末までにはCLARITY法が可決される見通しで、連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測や戦略的ビットコインの備蓄といったトランプ大統領の仮想通貨推進政策も相まって、ビットコインには追い風が吹いており、この10月には過去同様に上昇が予想される。
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— 取材協力 Tetsuo Araki