AmazonではAIの影響で仕事の質に悩むエンジニアが出てきている

メモ

AIの普及がホワイトカラーの仕事を奪う恐れがあることは以前から懸念されていますが、一方で、失業よりも前に仕事の質が変化したことに戸惑う事例も報告されています。

At Amazon, Some Coders Say Their Jobs Have Begun to Resemble Warehouse Work - The New York Times

https://www.nytimes.com/2025/05/25/business/amazon-ai-coders.html 顧客関係管理ソリューションを提供するSalesforceのマーク・ベニオフCEOは2025年3月、AIエージェント「Agentforce」導入に成功したため、2025年はエンジニアの新規採用を見送ることを表明しました。

SalesforceのCEOが「AI導入が成功したので今年はエンジニアを雇わない」と発言 - GIGAZINE

by Dan Farber また、NVIDIAのジェンスン・フアンCEOは、AIがコーディングを担うようになるので、プログラミングは不可欠なものではなくなるという見解を示しています。

NVIDIAのCEOが「AIがコードを書くのでもうプログラミングを学ぶ必要はない」と発言して議論を巻き起こす - GIGAZINE

by Hillel Steinberg これらは、AIがこれまで人間がこなしていた仕事を代替するようになる傾向を示しているといえます。 AmazonでもジェネレーティブAIへの大規模投資により、コーディング文化が急速に変化しているとのことで、内部関係者はニューヨーク・タイムズに対し、会社による成果目標の引き上げがあり、納期も厳しくなったと語っています。

Amazonのあるエンジニアは、メンバー数は半減したものの、AIのおかげでこれまでと同規模のコードを書ける状態にあると語りました。 しかし、AIによる生産性の向上はエンジニアが担う仕事を「コードを書く」ことから、「AIが書いたコードを読む」ことへと変化させているようです。著名プログラマーでAIもよく利用するサイモン・ウィリソン氏は「コードは読むよりも書く方が楽しいです。コードレビューは決して楽しい仕事ではありません。AIのようなツールを使って仕事をしていると、仕事の大部分はコードレビューになります」と、労働者らの不満を代弁しています。 ウィリソン氏と同じように長年プログラマーとして働き、バラク・オバマ氏の再選キャンペーン時に最高技術責任者を務めたハーパー・リード氏は、AIの世界ではキャリアアップに問題がある可能性について同意しつつも、「自動車工場ですべての角度が正しいか、人が測定しているとしたら異常です。集団で金属板を叩いていた時代ほど重要ではないのです」と述べ、自分のコードを深く理解することの価値について過大評価することに注意を呼びかけました。 Amazonのエンジニアの多くが所属する「Amazon Employees for Climate Justice(AECJ:気候正義のためのAmazon従業員)」と呼ばれる組合は、Amazonに対して二酸化炭素排出量を削減するよう求めるとともに、職場復帰の義務化など、Amazonでの労働に関する不満のはけ口となっています。組合主催者によると、直近では仕事でAIを使うことのストレスについて語り合うことが増えているとのこと。 元Amazon従業員でAECJの広報を担当するエリザ・パン氏は「キャリアがどうなるのかということや、そして仕事の質が主な不満になっています」と語っています。

AECJ

https://www.amazonclimatejustice.org/

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