【ふくしま衆院選選挙区 最前線ルポ】2区 投票まで7日 横一線の衝撃、争い激化

2026/02/01 09:47

 商都・郡山市を中心に県内最多の有権者約42万人を抱える本県2区。中道改革連合の玄葉光一郎(61)と自民党の根本拓(39)は「横一線」―との序盤情勢調査が報じられた衝撃は、激戦に拍車をかけた。衆院副議長や外相を歴任した当選11回の重鎮が議席を死守するのか、自民の若手ホープが下克上で雪辱を果たすのか。前職同士の意地がぶつかり合う。2区内に約2万票とされる「公明票」の取り込みを巡り、駆け引きが激しくなってきた。昨年7月の参院選で躍進した参政党の新人大山里幸子(52)は保守票や政権批判票、浮動票をどこまで集めるか。戦況は混沌[こんとん]としており、波乱含みの展開となる可能性がある。

 「12回目の選挙で初めて崖っぷちに立っているが、立ちすくんではいられない。比例で復活する可能性はほとんどない」。玄葉は30日夜、氷点下まで冷え込んだ商都の公園で、鬼気迫る表情で小選挙区での勝利に力添えを求めた。この総決起大会は急きょ、屋内から屋外に変更された。百戦錬磨の陣営には珍しい会場設定の不手際だった。

 田村や須賀川、石川などで「玄葉王国」といわれる強固な地盤を築き、中選挙区時代を含め当選11回。新たに郡山が加わった2024(令和6)年の前回衆院選では地縁や血縁などをたどって“どぶ板選挙”に徹し、初陣の根本を3万票差で退けた。

 今回は事情が違った。衆院副議長の重責を担い、自らの政治活動は抑制せざるを得ず、多忙な公務も相まった。玄葉をもり立てる顔ぶれは「前回とほぼ変わっていない」(陣営幹部)。組織の若返りを含め十分な体制強化ができないまま短期決戦に突入したという。

 玄葉にとって「横一線」は苦戦を意味する。県内外から政党関係者や地方議員、団体幹部、企業関係者らが続々と応援に入っている。元立憲民主党衆院議員で福島市長の馬場雄基(33)の妻菜里も加勢する。かつて郡山を拠点に若年層や無党派層などに幅広く食い込んだ馬場の支援者らを味方に付ける狙いだ。

 立民とともに新党「中道」を立ちあげた公明党の強固な組織力に、玄葉陣営はすがる思いだ。公示第一声で公明県本部代表の今井久敏は、連立政権を解消した自民を念頭に「なんぼ言っても変わらない人たちがいる。わたしたちは熟年離婚した」と四半世紀にわたる自民との選挙協力に決別を宣言。集まった公明、立民などの支援者の一体感を演出した。玄葉の選対本部長の無所属県議の佐久間俊男は「公明選挙の神髄を見た。この熱量は必ず最後に効いてくる」と舌を巻きつつ、新たな支持基盤を固めようとしている。

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 前回3万票差で敗れた玄葉を相手に序盤戦で競り合う展開と伝えられ、根本陣営の士気が上がる。根本は31日夕、地元・郡山で開いた個人演説会で「感覚的には『横一線』より少し負けているが、差が縮まっているのは事実だと思う。この勢いで追い抜いて勝ち切りたい」と気を吐いた。

 前回、比例で復活当選した根本は、この1年3カ月で250回以上の懇親会やミニ集会を重ねてきた。少人数の交流グループを含めると300近い後援組織を整えた。高い内閣支持率を維持する首相の高市早苗は公示日に来県し根本を激励した。2日には元首相の岸田文雄が駆け付ける予定で、上げ潮ムードが漂う。

 陣営幹部は、公明支持層との絆の強さに自信を見せる。公明とは根本の父で復興相などを歴任した匠の選挙戦から苦楽を共にしてきた。立民と合流し中道を結成したとはいえ、“公明離れ”は緩やかだという。郡山市内のある店舗には自民根本と公明今井のポスターが張られている。比例東北で公明と書き続けてきた経営者男性は「比例の投票先が悩ましいが、選挙区は根本に投じる」と明かす。

 田村市での出陣式で根本が、自民から離れた公明を念頭に、これまでの選挙協力に感謝を述べると、「(ここに)いるぞ」との声が飛んだ。複数の顔見知りの公明支持者が会場にいた。元JA福島五連会長の管野啓二は「肌感覚だが(公明の)半分以上は根本にとどまるかもしれない」とみる。陣営は水面下で公明票の取り込みを狙っている。

 不安要素はある。無党派層や保守層、若年層に強いとされる新興勢力の参政だ。昨年7月の参院選本県選挙区で郡山出身の大山が得た票のうち、衆院2区(12市町村)に当てはめると計5万5千票に上る。

 参政党本部は本県2区を重点地域に位置付け、比例票を掘り起こす。3日に代表の神谷宗幣が郡山で大山とマイクを握る。無党派層などへの訴求力が高いとされる神谷の応援演説で風向きを変えたいと大山陣営はもくろむ。

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 共産党の新人丸本由美子(63)は原発再稼働を推進する自民と対峙[たいじ]する姿勢を鮮明にしている。無所属の新人遠藤雄大(41)は交流サイト(SNS)で公約などを発信している。

【立候補者】

玄葉光一郎 61 ☆中道  前(11)

大山里幸子 52 ☆参政  新

遠藤 雄大 41  無所属 新

丸本由美子 63  共産  新

根本  拓 39 ☆自民  前(1)[維]

(届け出順、敬称略。丸数字は当選回数。☆は比例東北との重複立候補。[維]は日本維新の会本部の推薦)

◆前回2024年の2区開票結果

当 123,256 玄葉光一郎 60 立民

比  92,616 根本  拓 38 自民

   12,594 丸本由美子 62 共産

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