元日本代表・柿谷曜一朗「僕の目には圧倒的だった」香川真司・乾貴士の両選手に感じた決定的な差|テレ東スポーツ:テレ東

【動画】FOOT×BRAIN+ #723 若き才能育成術|https://youtu.be/I_JUppgs1Go

これまで「日本サッカーが強くなるためにできることのすべて」をコンセプトに2011年4月に始まった『FOOT×BRAIN』。

番組開始から15年目を迎え、2025年4月に『FOOT×BRAIN+』として新たなコンセプトで生まれ変わった。

日本代表・遠藤航が公言した「ワールドカップ優勝」。FOOT×BRAIN+は「日本がW杯で優勝するためにできることのすべて」をテーマに掲げ、より深く、より徹底的に日本サッカーの可能性を探っていく。

元日本代表・柿谷曜一朗(35)と元北朝鮮代表・鄭大世(41)が語る、若き才能を開花させる「メンタルの村」攻略法。

香川真司や乾貴士といったライバルとの出会いが天才を変え、責任を背負わせることで成長を促す実体験を赤裸々に告白。日本代表がW杯優勝を本気で目指せる時代になった背景も分析する。

「王様」だった少年時代の自己認識

番組の冒頭「若い頃、自己分析するとどのような人柄、選手だったのか」と問われた柿谷は「僕は4歳からサッカーをしているんですけど、自分よりサッカーが上手い人と出会ったことがなくて。同年代の代表でも、自分より上だと思える選手にも出会ったことがなかった」と振り返る。

さらに「自己中というか、とにかくサッカーというのは自分がボールを持っている時のことをサッカーって呼ぶんだというぐらい。チームとして戦うとか、本当に全くなかったし、とにかく自分さえ楽しければいいという」と当時の考え方を赤裸々に語った。

これに対し鄭は「王様だね」と即座に反応。しかし、柿谷はチーム内では「年上のお兄ちゃんたちが『曜一朗は特別や』って言ってくれるので、好かれている・嫌われているというよりは、可愛がられているという感覚だった」と説明した。

一方で鄭は「王様みたいなタイプって、普段のその人の人柄次第で好かれるか嫌われるか決まると思うんですよ。普段は人なつこいし、人が好きだから、普段のみんなが愛されているのがあるからピッチの上はそうなんですよ。僕はずっと悪口言われてましたよ」と対照的な自身の経験を語った。

ライバルの存在が才能を引き出す

才能ある若手選手を開花させる鍵の一つが「ライバル」の存在だ。柿谷は「プロになるまでは好き勝手プレイしてきた」と話すが、同期入団の香川真司との出会いで変化が始まった。

「香川は元々ボランチをやっていたんですが、監督が『技術もあって運動量もあるからアタッカーの方やってみろ』と言ったタイミングで急に爆発し出した。サッカーセンスもそうですけど、IQがあって、運動量があって、何より試合になったら練習以上のものを出せる選手」と語る。

柿谷自身は「僕は真逆。練習は楽しくて好きなことできるけど、試合になったらサポーターが入って緊張して縮こまる」タイプ。さらにセレッソ大阪に乾貴士が加入すると「さらに香川が輝いて、乾も嘘みたいに活躍して。2人が(上の存在に)いっちゃった」状態に。

「周りは『曜一朗も負けてないよ』と言ってくれるけど、僕の目には圧倒的だった」と当時の焦りを振り返った。両選手との決定的な違いについて、柿谷は「僕よりも圧倒的にサッカーが好き」と認識していた。

「僕はオフの日はサッカーしたくないタイプ。香川選手はいろんなことを試すタイプ。乾選手はただただサッカーが好きで、休みの日もサッカーをしたい。僕も好きなんですけど、努力しているところを見せるのが恥ずかしいという変なプライドもあって。それがカッコいいと思っていた」と自身を分析する。

そして「みんなが見ていないところでの努力もしていなかった」と告白。「なんか何をみんなそんな頑張ってんねん、明日の練習のために今日から準備するのやろ」という考えだったという。

責任を背負わせて成長を促す

若い才能を開花させるもう一つの鍵が「責任を背負わせる」こと。

柿谷は「僕みたいな責任感のない選手に何か与えるなら、やっぱりチームを背負わせることだと思う。それがキャプテンという役職でもいいし、副キャプテンでもいい。チームのためにお前がいるということを強く意識させることが大事」と語った。

実際、徳島ヴォルティスに移籍した際に監督から副キャプテンに任命されたことが大きな転機になったという。

「試合中にキャプテンが交代したら次は僕がキャプテンマークを。このキャプテンマークって、もう僕みたいな単純な人間は、そんなことだけでも変わるんですよ。ちゃんとしなあかんというぐらい大事なこと」だと振り返る。

また、キャプテンの倉貫一毅が練習の3時間前から準備している姿を目の当たりにし、自身も早く練習場に行くようになったという。

「僕がそういう役職じゃなかったら『なんでこんな早く来てるんやろ』だけだったと思うんですけど、チームのために自分が模範とならないといけないという意味でも変わりました」と語った。

セレッソ大阪に戻った後は、クラブの象徴である背番号8を背負うことになる。

「セレッソの8番というのは特別で、4歳からセレッソを追って、その8番をつけて、キャプテンをしているというのは。8番をつけている時点でこのチームの中心でないといけない。全てを背負わないといけないぐらいまで思っていました」と責任感の芽生えを説明した。

人間性が才能を左右する

鄭は「自信がないから自分のライバルと比べてしまう」と告白。清水エスパルス時代には特に印象的な出来事があったという。

「ドウグラスという選手がいて、初めて僕がライバルに敗北を認めた選手。もっとヨーロッパで活躍するぐらいの能力がある選手なのに、なんで今一緒にやってるんだろうぐらいと思っていた」と振り返る。

ある試合で出場機会を得られなかった鄭は「地獄に突き落とされた気分」だったが、試合後にドウグラスが「一緒に戦おう」と声をかけてきたという。

「あの時、僕が試合に出れなかった悔しさを鑑みてくれて、あえて僕のところに来た。こいつどんだけ器が広いんだと思って。サッカーで勝てない、人間的にも立ち打ちができない。もうその時にボクはこいつには勝てない」と人間性に感銘を受けた経験を語った。

しかし、リーダーシップについては自身の限界も認識していた。

清水エスパルス時代に自らキャプテンに立候補した経験から「僕はキャプテンをやっちゃいけないタイプでした」と振り返る。

「普段自分のことしか考えてない人が試合中にも文句言ったり、『今のもっと強く行けば』ってうざいじゃないですか」と自己分析。チーム内の分断を招いたことを後悔していた。

日本サッカーの変化と未来

番組の終盤では、現在の日本代表に対する見解も語られた。

鄭は「だいぶ雰囲気が変わりました」と前置きした上で、「昔だったら本田圭佑選手がワールドカップで優勝すると言っても、心の中ではみんな『無理だろう』と思ったと思う。今はもう目指すところワールドカップ優勝だし、多分今インタビューでそれを言っても誰も疑うことない」と指摘する。

「昔だったら日本でJリーグで活躍して、代表に行って海外に行くという順序だったのが、海外に行ってそこで絶対的に活躍をして初めて代表に選ばれるという順序ができた。それだけ世界が近づいているということ。世界レベルでプレイしている選手じゃなきゃ日本代表になれないという今の環境が、ワールドカップ優勝するという言葉の信憑性を持たせている」と分析した。

柿谷も「今のメンバーがワールドカップで優勝すると全員口を揃えて言っているので、僕はできると信じています」と賛同。

ただし「ワールドカップに出てくるチームは多分全チーム同じことを思っているので、グループリーグ敗退ももちろんある」と現実的な見方も示した。

「もう本当にその1試合1試合。一番大事なのはワールドカップに向けて怪我人が出ないこと。活躍している選手たちがチームを変えない方がいいんじゃないか。移籍をすると調子を崩す選手が出てくる」と、選手の移籍による調子の変化を懸念する意見も述べた。

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