米国株の押し目買いになお妙味、関税一時停止の期限迫る中でも-調査
トランプ米政権による上乗せ関税の一時停止措置の期限が迫り、株式市場の重しとなりかねない中でも、押し目買いの動きが入り、損失は限定されるとの見方が強まっている。最新のマーケット・パルス調査で明らかになった。
調査に回答した168人のうち61%は、今月9日の期限を過ぎても押し目買いは投資妙味があるとの見方を示した。また、回答者の半数超はトランプ大統領が再び期限を延長する公算が大きいと受け止められていることを理由に挙げた。
トランプ氏は4月2日を「解放の日」と称し、すべての貿易相手国に最低10%、対米貿易黒字が大きい約60カ国にはさらに高い関税を課すと発表。上乗せ関税は4月9日に発動されたが、中国を除く国々に対しては13時間で一時停止され、各国に90日間の交渉期間が与えられていた。
記録的回復
期限が迫る中で、トランプ氏は再延長は考えていないと主張しているが、投資家は世界貿易への影響は穏やかになると受け止めているようだ。S&P500種株価指数が関税一時停止を受けて25%回復し最高値を付けたことが、こうした見方を後押ししている。
インフラ・キャピタル・マネジメントのジェイ・ハットフィールド最高経営責任者(CEO)は、「最終的には合意と混乱が入り交じる形になるだろう。関税問題は過度に誇張されており、仮に関税が16-17%で決着すれば、実質的な影響はないと見ている」と述べた。
それでも回答者の73%は、4月2日に発表された関税水準が再導入されれば、米経済がリセッション(景気後退)に陥ると予想した。そのシナリオでは、株式へのエクスポージャーを世界的に大きく減らすとした回答者が約3割、現状維持すると答えた割合も同程度だった。
ジョーンズ・トレーディングのチーフ市場ストラテジスト、マイケル・オルーク氏は「来週の押し目買いは慎重になるべきだ」と警告。「S&P500種株価指数は基本的に最高値圏で推移しており、バリュエーションは高い。経済指標は鈍化傾向にあり、この環境では大幅な調整リスクがある」と述べた。
バリュエーション注視
S&P500が最高値圏に戻ったことでバリュエーションを巡る懸念も再燃している。ブルームバーグの集計データによれば、S&P500は今後12カ月の予想利益に対して22倍で取引されており、過去10年平均を36%上回る。
しかし、調査回答者の過半数は近く始まる決算発表シーズンが株価を押し下げる可能性があると指摘しており、企業業績が失望を誘う内容となれば、株式への潜在的なリスクが浮き彫りになりそうだ。
原題:Dip Buyers Set to Pounce as Tariff Deadline Nears: Markets Pulse(抜粋)