インド・EUがFTA最終合意、自動車・ワインなど関税引き下げ 農産物除外

 1月27日、インドのモディ首相は、最大の貿易相手である欧州連合(EU)と自由貿易協定(FTA)で最終合意したと発表した。写真は、ハイデラバード・ハウスでの会談に先立ち写真撮影でポーズをとるEUのコスタ欧州理事会議長(左)、インドのモディ首相(中央)、欧州委員会のフォンデアライエン委員長(右)。インド・ニューデリーで27日撮影(2026年 ロイター/Altaf Hussain)

[ニューデリー 27日 ロイター] - インドと欧州連合(EU)は27日、長年の懸案だった歴史的な自由貿易協定(FTA)で最終合意したと発表した。不安定な対米関係に備える狙いもある。

EUによると、取引額ベースで96.6%の品目の関税が撤廃または削減される。EUからインドへの輸出額は2032年までに倍増する見通しで、欧州企業にとっては40億ユーロ(約47億5000万ドル)の関税削減につながるという。

インド商工省の声明によると、EU側は今後7年間で99.5%の品目の関税を削減する。インド産の水産物、皮革製品、化学品、ゴム、非鉄金属、宝石・宝飾品については関税がゼロになる。

ただ大豆、牛肉、砂糖、米、乳製品などの農業関連品目は協定から除外された。

インドとEUの協議は9年間の中断を経て22年に再開され、トランプ米大統領が貿易相手国に関税を課したことを受けて交渉が加速した。モディ首相は「昨日、EUとインドの間で大きな協定に署名した」と述べ、「世界中の人々がこれをあらゆる協定の母と呼んでいる。この協定はインドの14億人と欧州の数億人に大きな機会をもたらす」と称賛した。このFTAは世界の域内総生産(GDP)の25%、世界貿易の3分の1を占めると指摘した。

欧州委員会のフォンデアライエン委員長はソーシャルメディアで「欧州とインドは今日、歴史を作った。これは始まりにすぎない」と述べた。

インド政府筋は5─6カ月間の法的精査を経た後に正式署名が行われ、1年以内に施行されるとの見通しを示した。

<アジアの巨大市場にアクセス>

FTAにより、これまで高関税で守られていたインドの巨大な市場が開放される。EUによると、インド政府は自動車の関税を現在の最大110%から5年かけて10%に引き下げる予定で、フォルクスワーゲン、ルノー、メルセデス・ベンツ、BMWなど欧州の自動車メーカーが恩恵を受ける。

また、インドはワインなどアルコール飲料の関税も即時に150%から75%に引き下げ、段階的に20%まで削減する。

EUによれば、機械類、電気機器、化学品、鉄鋼など、インドへ輸出される多数のEU製品の関税も削減される。

EUは数日前に南米の関税同盟メルコスル(南米南部共同市場)とFTAに署名した。昨年はインドネシア、メキシコ、スイスともFTAを結んでいる。インドも昨年英国、ニュージーランド、オマーンとのFTAを最終合意した。これら一連の協定には米国への依存を減らす狙いがある。

インドの元貿易政策当局者アジャイ・スリバスタバ氏は、インドにとってEUとのFTAは労働集約産業の輸出拡大につながり、米関税の影響を一部相殺すると指摘した。また、インド市場におけるEU製品の価格競争力が高まると述べた。

ただし、今年から本格運用が始まったEUの炭素国境調整メカニズム(CBAM)の影響を受けるインド企業に対する救済措置は取られなかった。インドは、CBAMで第三国に関して柔軟運用が認められた場合、インドがその対象になるという確約をEUから得たとしている。

これとは別に、EUはインドの温室効果ガス排出削減の支援で、今後2年間で5億ユーロの資金援助を行うことに合意した。

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