トランプ氏、米軍がイランの石油輸出の「生命線」爆撃と
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米・イスラエルによるイラン攻撃と、イランによる反撃が続く中、アメリカのドナルド・トランプ大統領は13日、イランの原油輸出の9割を担うカーグ島の軍事標的を爆撃して破壊したとソーシャルメディアで発表した。他方、米軍は日本の長崎県の佐世保基地に配備する強襲揚陸艦と沖縄に駐屯する海兵隊部隊を中東地域に派遣する方針と、複数の米メディアが伝えた。トランプ氏は戦争終結の見通しについて記者団に聞かれ、「必要なだけ続く」と答えた。
複数の米政府高官はBBCがアメリカで提携するCBSニュースに対して、日本に駐屯する海兵隊と複数の海軍艦を中東へ派遣すると明らかにした。米紙ウォールストリート・ジャーナルが最初に伝えた。
派遣されるのは強襲揚陸艦や第31海兵遠征部隊などで、通常は計約5000人の兵員になる。ただし、米メディア各社はさまざまな派遣の規模を伝えている。
BBCは米軍と国防総省に確認を求めているが、米軍は通常、予定されている部隊の移動について報道を追認しない。
トランプ大統領はソーシャルメディアで、「米中央軍司令部は、中東の歴史でもめったにない強力な爆撃を展開し、イランにとって至宝にあたるカーグ島のあらゆる軍事目標を完全に破壊し尽くした」と書いた(太文字は原文ではすべて大文字)。
「私は、島の石油インフラ一掃は、あえて選ばなかった。しかし、もしイランやほかの誰かが、ホルムズ海峡を通る船の自由で安全な航行を何かしら邪魔するなら、この決定はただちに再考する」とも、トランプ氏は書いた。
トランプ氏はさらにイランに武器を置くよう呼びかけ、「自分たちの国に残るものはほとんどないが、せめてそれを助ける」よう促した。
カーグ島は、イランの沖合約15カイリに位置する長さ約8キロの小さな岩礁。住民は少ないが、イランの輸出原油の90パーセントがここを通過するため、イランの「石油の生命線」と見なされている。
大型タンカーが島まで原油を運び、そこからペルシャ湾とホルムズ海峡を通過し、最終的にはイラン産石油の最大消費国・中国へ向かうことも多い。
この島へのアクセスが遮断されれば、イラン・イスラム共和国の経済は深刻な打撃を受ける。
米ニュースサイト「アクシオス」は今月初め、トランプ大統領が特殊部隊を派遣してこの島を制圧することを検討していると報じていた。
米軍はいずれカーグ島を占拠しようするのではないかと、かねて憶測されていた。この島を押さえれば、イランの石油輸出ルートを遮断するだけでなく、イラン本土への攻撃拠点としても有用になり得る。
少なくとも海兵隊員2000人を乗せた強襲揚陸艦が湾岸地域へ派遣されているという米メディアの報道が、こうした憶測をさらに強めている。
トランプ大統領は、大統領専用機エアフォース・ワンに乗り込んで間もなく、カーグ島攻撃について投稿した。同機に搭乗する前に記者団に、戦争がどれほど続くと考えるか質問されると、大統領は「それは言えない」と答えた。
「つまり、自分なりの考えはあるが、それが何の役に立つ?」、「必要なだけ続く。イランは壊滅的な打撃を受けている」とトランプ氏は述べた。
大統領は以前、イランが無条件降伏すれば戦争は終わると述べていた。
その意味を記者団に問われるとトランプ氏は、それはイランの海軍、空軍、そして軍の大部分の「消滅」を意味すると答えた。
さらに、「非常に単純に言えば、我々はこれまで誰も見たことがないほど圧倒的に優位な立場にある」とトランプ氏は述べた。
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トランプ氏は米FOXニュースが13日に放送したインタビューで、戦争が終わったとどう判断するのかとの質問に、「私がそれを感じた時だ、いいか? 自分の骨身で感じた時だ」と答えた。
また、今後1週間でイランを「非常に激しく攻撃する」としつつ、「我々はすでに彼らに非常に深刻な損害を与えており、再建には何年もかかるだろう」と語った。
イランの新しい最高指導者モジタバ・ハメネイ師がまだ公の場に姿を見せていないことについては、「かなり被害を受けていると思う。しかし、おそらく何らかの形で生きていると思う」と述べた。
ホルムズ海峡の通航については、「必要なら」米軍がタンカーを護衛すると述べた上で、「このままうまくいくことを願っている。様子を見続ける」と付け加えた。
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レバノン保健省は13日、イスラエルとの衝突が始まって以来、773人が死亡し、1933人が負傷したと発表した。
アメリカ拠点の人権活動家通信(HRANA)は、3月12日までにイランで少なくとも1858人が死亡し、そのうち1286人が民間人、199人が軍関係者だと報告している。
イスラエル当局は、3月10日現在で、戦争開始以降イランからのミサイル攻撃により12人が死亡したと発表した。また、イスラエル軍によると、レバノンでの戦闘でイスラエル兵2人が死亡している。
米軍の死者数は13人に増えた。イラク西部で米軍の空中給油機が墜落し、乗員6人の死亡が確認されたことによる。
BBCモニタリングとイラク・メディアによると、イスラム教シーア派を中心とする武装組織「人民動員隊」は、今月に入って以来、イラクでの空爆により27人が死亡したと述べている。
またイラクでは、北部クルド人自治区アルビルへのドローン攻撃で、駐屯するフランス軍兵1人が死亡し、兵士6人が負傷した。
アラブ首長国連邦(UAE)の国防省は、イランが攻撃を開始して以来、6人が死亡したと発表した。
インド外務省によると、オマーンでは、ソハールへの攻撃によりインド国籍の2人が死亡した。
イラン国営メディアによると、革命防衛隊(IRGC)は、レバノンのシーア派武装組織ヒズボラと共同でイスラエルへのミサイル攻撃を実施した。IRGCの海軍とドローン部隊が、同盟関係にあるヒズボラと共同作戦に参加したという。
イスラエルではテルアヴィヴ、中部、占領下のヨルダン川西岸の一部で空襲警報が発令された。
今回の攻撃については、現時点で死傷者や被害の報告はない。
レバノンのジョセフ・アウン大統領は、イスラエルとヒズボラとの戦争が続く中、イスラエルとの直接交渉を提案したものの、「返答がない」と述べた。
アウン大統領は、レバノンの首都ベイルートでアントニオ・グテーレス国連事務総長と会談後、「私は交渉する用意があると伝えた。しかし現時点まで、相手側からの返答はない」と声明で述べた。
大統領はさらに「イスラエルの侵攻行為」を非難し、「停止されなくてはならない」と強調した。
アウン大統領は以前からヒズボラを、レバノンの国益や国民の命を顧みない「武装勢力」だと批判している。
イスラエルは、ヒズボラの武装解除はレバノン政府の責任だというのが以前の停戦合意の取り決めだと主張。レバノン政府がこれについて、具体策を取っていないと批判している。
イギリス国防省は13日の作戦行動について、イラク・アルビルの有志連合基地に対する最近の攻撃を受けて、英軍の対ドローン部隊が「複数のドローンを撃墜した」と発表した。
国防省はさらに、イギリスのタイフーン戦闘機がバーレーン上空で初めて防空任務を実施したと明らかにし、「イギリスのタイフーン戦闘機とF35戦闘機は現在、カタール、キプロス、UAE、ヨルダン、バーレーンにおいて、イギリスの利益と同盟国を守るために飛行している」と述べた。
UAE国防省は、同国の防空システムが13日、イランから飛来したミサイル7発とドローン27機を「迎撃した」と発表した。「イランによる大胆な攻撃が始まって以来、UAEの防空部隊は弾道ミサイル285発、巡航ミサイル15発、ドローン1567機に対処してきた」という。
アメリカ側は、戦争初日に最高指導者が殺害されれば、イランの体制はかなり速やかに崩壊するだろうと期待していた。しかし、イランで体制が崩壊しつつあると示す証拠はない。
ドナルド・トランプ氏は強い指導力を信奉する。最高指導者アリ・ハメネイ師を殺害すれば、その後にはヴェネズエラ型の事態が続くと考えていたのかもしれない。
もしそうだとすれば、イラン体制の仕組みについて、危険なほど無知だったということになる。
イランはもう長いこと、アメリカとイスラエルを憎み、対抗してきた。
イスラエルは、新たな最高指導者のモジタバ・ハメネイ師を殺害するつもりだと言明している。
彼の父と妻とそして姉妹の1人を殺した攻撃で、本人も負傷した、もしかすると重傷を負ったと、そう確認できる証拠は得られていない。
イラン政府がモジタバ・ハメネイ師に対する個人崇拝を、国民の間で作り上げようとしている。それだけに、彼の状態について新しい材料を示すことで、この機会を利用しないのは不思議だ。
一方で湾岸諸国の間では、アメリカが自分たちにひどい後始末を押し付けたのではないかと、懸念が高まっている。