米国の医薬品関税、影響は軽微の見通し-全大手製薬会社が米国に拠点

Frank Connelly

トランプ米大統領が発表した、米国内に医薬品工場のないブランド薬・特許取得済みの医薬品に100%の関税を課す計画について、投資家の多くは冷ややかな反応を示している。

  新たな措置により、10月1日までに米国内での製造工場建設が始まっていない場合、一部の輸入医薬品のコストが2倍になる恐れがある。だが、大手製薬会社の多くは、すでに米国に工場を持つか、建設を進めている。

  ボントーベルのアナリスト、シビル・ビショフベルガー・フリック氏はリポートで「全大手製薬会社が米国に拠点を持っており、ほぼ全てが今後数年間に大規模な投資を発表している。それによって彼らの薬が関税から免除されるとみている」と述べた。

  メルクノボノルディスクイーライリリーは2023年以降、米国での工場建設に着手している。サプライチェーン(供給網)を米国内に根付かせ、がん、糖尿病、免疫学の分野におけるブロックバスター薬を支えることが目的だ。

  26日の欧州株式市場で、製薬株はほとんど動かず、GSKなど一部はむしろ上昇した。ノボノルディスクは例外で、一時3.1%下落した。

  みずほ証券のヘルスケア担当スペシャリスト、ジャレッド・ホルツ氏はリポートで「トランプ氏の発言自体は直接的だが、その影響はあいまいか、ほとんどないかもしれない」としている。

  ただ、トランプ氏は措置の詳細をほとんど明らかにしておらず、米国と貿易協定を結んでいる国や地域が新たな課税を回避できるかどうかなど、不確実性は多く残っている。

  欧州連合(EU)の報道官は26日、米国との包括的な貿易協定の中で、域内から輸出される医薬品、半導体、木材への関税が15%を超えないことで合意したと述べた。

原題:Trump Pharma Tariff Plan Looks Like Reprieve for Many Drugmakers(抜粋)

— 取材協力 Sonja Wind, Naomi Kresge, Alberto Nardelli, Lisa Pham, Jason Gale, Amber Tong, Kanoko Matsuyama and Blaise Robinson

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