中国バイトダンス、TikTok米事業の利益50%前後を確保へ-関係者
中国の字節跳動(バイトダンス)は動画投稿アプリ「TikTok」の米国事業の過半を米投資家に売却した後も、同事業から生じる利益の約半分を得る見通しだ。事情に詳しい関係者が明らかにした。
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トランプ政権が主導して進める取引の一環として、バイトダンスは米事業体にアルゴリズムを提供することで生じる収入に対してライセンス料を受け取るほか、持ち分比率に応じた利益分配も得る見通しだという。非公開情報であることを理由に関係者は匿名を条件に語った。
バイトダンス、TikTok、ホワイトハウスにコメントを求めたが、現時点で返答は得られていない。
バイデン前米政権では、国家安全保障上の懸念を理由に、TikTokが米国事業を売却しなければサービスを禁止する新法が成立した。トランプ氏は2期目の政権発足後、その売却期限を繰り返し延長してきた。同氏はしばしば、TikTokでの支持が2024年選挙での勝利につながったと語っている。
トランプ氏は先週に中国の習近平国家主席と電話会談を行い、米国側は両首脳がTikTok米国事業の売却で合意に達したと発表した。しかし、中国当局は合意を確認しておらず、取引の詳細もこれまでに明らかになっていない。バンス副大統領が25日、TikTok米国事業の評価額は約140億ドルとの見方を示したことで、同事業を巡る混乱に拍車がかかった。この数字は、市場関係者が予想していた350億-400億ドルを大きく下回る水準だ。
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米事業の利益分配に関する取り決めが、こうした評価額の差の背景にある可能性がある。現行の提案では、TikTok米国事業はアルゴリズム利用による収入について、バイトダンスに多額のライセンス料を支払うことになっているという。関係者によれば、バイトダンスはアルゴリズム由来の収入の約20%を得る可能性があり、収入が200億ドルなら最大40億ドルに上る。
さらにバイトダンスは持ち株比率に応じて、残りの収入からも約20%の利益を得る見通しだ。残りの利益は、オラクルやシルバーレイク・マネジメント、アブダビ拠点のMGXなどで構成される米国主導のコンソーシアムと既存投資家が分け合うことになる。
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こうした利益配分の仕組みこそが、多くのアナリストが算定する事業価値と、トランプ政権が提示する評価額との間に大きな乖離が生じている理由を示している。
アルファ・ビンワニ・キャピタルの創業者アシュウィン・ビンワニ氏は140億ドルという額について、「今世紀で最も過小評価されたテック企業買収となり得る」と指摘。この額はTikTokの実際の価値の3分の1程度しか反映していないとし、「主要な財務指標や同業他社との比較から見ても、この価格は現実とかけ離れている」と語った。
バンス氏は、支払額は「最終的には」買い手が決めると説明。ただ、バイトダンスと買収コンソーシアムが合意にどこまで近づいているかはなお不透明だ。
在ワシントン中国大使館は「米国側は中国の投資家に対し、オープンで公平かつ差別のない環境を提供する必要がある」と、従来の声明を繰り返している。
原題:ByteDance to Get About 50% of TikTok US Profit Under Trump Deal(抜粋)
— 取材協力 John Liu, Zheping Huang, Kate Sullivan and Lynn Doan