トランプ大統領、「人工知能の名称変更」を提案──3案から支持者に投票求める(Forbes JAPAN)
ドナルド・トランプ大統領は、「人工知能(Artificial Intelligence)」という呼び名を変えようとしている。AI業界の規制を巡る議論が激しさを増し、AIが社会に及ぼす影響について、期待より懸念を抱く人が多いとする世論調査も出ている。トランプは米国時間2026年9月19日、SNS「トゥルース・ソーシャル」でAIに代わる新名称案を3つ示し、フォロワーに投票を呼びかけた。 ■トランプがAIの新名称3案を提示 トランプは、AIモデルの開発が加速度的に進むのを抑えるよう求める最近の声に反発してきた。トゥルース・ソーシャルへの投稿では、「多くの人」が「AI」という言葉を、この技術の名称として「不正確で、非常に洗練を欠く」と考えていると述べた。トランプは「はるかに洗練され、正確」な新名称を3つ挙げ、フォロワーに最も好むものを選ぶよう求めた。 トランプが示したAIの新名称案は、次の3つだ。 ・Superior Intelligence(SI。優れた知能) ・Extreme Intelligence(EI。極めて高度な知能) ・Supreme Intelligence(SI。最高の知能) 投票開始から1時間以内に3万人近くが投票し、米国時間2026年9月19日午後1時時点では「Superior Intelligence」が42%で首位だった。 トランプは、すでに定着した言葉を別の表現に置き換え、世論の受け止め方を変えようとしてきた。主流メディアの報道を「フェイクニュース」と呼び、政府機関で長く働く職員を指して「ディープステート」という言葉を広めた。新型コロナウイルス感染症を「中国ウイルス」や「カン・フルー(Kung Flu)」と呼んだこともある。
■AI開発の減速を巡り、トランプと一部のAI企業経営者が対立 米国時間2026年9月12日、アンソロピックのダリオ・アモデイCEOは、議員がAI業界への適切な規制を整えられるようになるまで、最先端のAIモデル開発を意図的に減速するよう呼びかけた。アモデイの呼びかけから1週間で、AI開発を減速すべきかどうかを巡る主張は大きく2つに分かれた。 トランプは、エヌビディアのジェンスン・フアンCEOや、大統領科学技術諮問会議(PCAST)共同議長のデイビッド・サックスと同じく、AI開発を遅らせることに反対している。米国のAI開発組織に強制的な停止や減速を課せば、米国が競争力を損ない、AI分野の主導権を中国企業に渡すことになるとの主張だ。AIが人類を破滅させる、あるいはロボットが人間社会を「支配する」といった警告は「でっち上げ」「病的な陰謀」だと退け、制度としての安全対策や開発減速を義務付ける規制は不要だとしている。 AI開発の減速に反対するトランプとは異なり、アモデイ、OpenAIのサム・アルトマン、スペースXAIのイーロン・マスクは、AIモデルの進歩に人間側の能力が追いついていないと述べてきた。ここでいう人間側の能力とは、AIを人間の意図に沿うよう調整し、テストし、安全に制御する能力を指す。 トランプはAI関連企業への規制について、トゥルース・ソーシャルに投稿した。「我々にはすでに、これらの企業に対して刑事上・規制上の強大な権限がある! AIとデータセンターを巡って病的な陰謀が進んでおり、それを喜ぶのは中国だけだ。AIを制する者が勝つ! 我々は中国を含む他のすべての国に先行しており、先行し続ける。陰謀論者、反逆を唱える者、裏切り者、情報を漏らす者は覚悟せよ!」。 ■AIへの期待と懸念が交錯、米国では懸念が優勢 ピュー・リサーチ・センターが9月17日に公表した37カ国対象の調査では、日常生活でAIの利用が広がることについて、多くの国で懸念と期待が同程度か、懸念が期待を上回った。調査対象国の約半数では、懸念と期待を同程度に感じる人が最も多かった。オーストラリア、米国、ブラジル、カナダでは、期待より懸念が強い人が50%以上だった。 同調査では、若年層が高齢層よりAIについて多く見聞きしており、AIへの懸念も若年層でより急速に強まっている。米国では、AIに期待するより懸念すると答えた18~34歳の割合が、2024年の40%から2026年には55%へ上昇した。 イスラエルは、AIに「主に期待する」と答えた人が29%、「主に懸念する」と答えた人が19%で、期待が懸念を上回った唯一の国だった。9月16日にポリティコが公表した別の世論調査では、米国人の63%が、AIが人類を滅ぼす危険性は「少なくとも中程度」あると回答した。
Mary Whitfill Roeloffs