ドイツ、まもなくウクライナにパトリオット迎撃ミサイルを10発移転

ドイツはまもなくウクライナにパトリオット迎撃ミサイル=MIM-104E GEM-Tを10発移転する見込みで、米国務省が18日に承認したウクライナ向けの包括的な防空能力向上パッケージには「S-300システム用のクローンミサイル」と「GAM-67ミサイル」という謎の兵器が含まれている。

参考:Official Record of the United States Congress 参考:Ukraine – Air Defense Development Upgrade

ウクライナのイェウヘン・フマラ国防相は8日、ウクライナ国防連絡グループ会合で「パートナー国の支援とEUからの融資資金を活用して約1000発のパトリオット迎撃ミサイルの供給契約を締結している」「この将来調達する改良型ミサイルと引き換えに備蓄分からパトリオット迎撃ミサイルを引き渡してほしい」と要求し、将来調達する改良型ミサイルとは「ウクライナが発注した約1000発の新しく製造されるパトリオット迎撃ミサイル」のことだ。

出典:Defense of Ukraine

欧州委員会は今年のウクライナ防衛・軍事援助に割り当てられていた283億ユーロの最終トランシェ=61億ユーロを9月11日に承認し、 アンドリウス・クビリウス欧州防衛担当委員は「この決定でウクライナはパトリオットシステム用のPAC-3を正式に調達できるようになる」と述べたため、フマラ国防相が言及したパトリオット迎撃ミサイルの購入は「ロッキード・マーティンが製造しているPAC-3 MSEを約1000発購入する」という意味になるが、恐らく納入待ちの長い行列の最後尾に並ぶことになる可能性が高いのでPAC-3 MSEの納入開始は数年先(早くて2028年頃?)の話になるだろう。

そしてドイツのピストリウス国防相はウクライナ国防連絡グループ会合で「ウクライナに対するPAC-2迎撃ミサイル(PAC-2 GEM-T)の供給量を増やす」と述べていたが、9月15日付の米議会記録によれば国務省は議会に「ドイツがウクライナへのパトリオット迎撃ミサイル=MIM-104E GEM-T×10発(約2,960万ドル相当)の恒久的移転実施について提案している」と通知しており、国務省が議会に通知を提出したのは2026年8月14日だと記載されており、本移転の審査期間(15日間もしくは30日間)は過ぎているためPAC-2 GEM-T移転は既に実行段階にある可能性が高い。

出典:U.S. Congress

今回のPAC-2 GEM-T移転は8月14日よりも以前にドイツが米国に要請したものなので、ピストリウス国防相が9月8日に言及した「ウクライナに対するPAC-2迎撃ミサイルの供給量を増やす」という話は「10発程度の供給量を増やす」という意味になるものの、それでも「ドイツだけではその程度の供給量」だと示唆している。

ちなみに国務省は18日「ウクライナに対する防空能力向上および関連機器・サービスの購入を目的とした対外有償軍事援助(FMS)の実施を承認する決定を下した」「推定総費用は26億8,000万ドルで本提案の購入が締結された場合、ウクライナは欧州からの拠出金とバイデン政権下で計上された対外軍事資金援助(FMF)を組み合わせて資金を調達することになる」「このFMFは1対1の償還を通じてウクライナ復興投資基金への米国の資本拠出として計上される」と発表した。

出典:Ryan Crierie/CC BY 2.0

これはウクライナによるPAC-3 MSE購入の承認ではなく、S-300システム用のクローンミサイル、GAM-67ミサイル、射程延長型の防空レーザー誘導ロケットミサイルなどが含まれた包括的な防空能力向上パッケージで、S-300システム用のクローンミサイルとは何なのか、GAM-67ミサイルは1950年代に開発された対レーダーミサイルのGAM-67クロスボウのことを指しているのかなど謎が多い。

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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Army photo by Sgt. David Rincon

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