「質問の意図が分からなかった」世界陸上で衝撃の新記録…棒高跳・デュプランティスに会見で飛んだ“まさかの質問”の中身 「少し視点を変えますが…」

 まずは今日の舞台となった東京について語り始めた。 「東京五輪との一番の違いはスタンドが満員になっていたことです。無観客と違って、本当に日本の観客の皆さんから力をもらえたし、スタジアムの雰囲気は自分が経験した中でも過去最高でした。  アドレナリンが出てパフォーマンスの助けになりましたし、特に疲れが溜まっていた時に力になりました。(同時開催されていた)3000m障害決勝の時も観客のエネルギーは素晴らしかったですし、私の想像や期待を大きく上回るものでした」  そこからは海外メディアが続々と挙手。矢継ぎ早に質問と答えが続いていく。  結果を見れば、2位のカラリスが6mちょうど。デュプランティスの圧勝だったが、フォーカスしていたのはあくまで世界陸上のタイトルだったという。 「今日はとても大変な競争になりました。多くの選手が素晴らしい跳躍を見せていて、まずは勝たなくては、と思っていました」  プレッシャーをどうやって乗り越えているのか、ルーティンはあるのか、というありきたりな質問も、3度の世界陸上タイトル、2度のオリンピックタイトルを獲得し、今回で14回目の世界記録更新となったデュプランティスには相応しい問いに聞こえるから不思議だ。 「自分に自信がありました。この大会に向けた準備にも自信があったし、ああいった世界記録がかかった状況に対する慣れもあったかもしれません。あまりシリアスになりすぎないことも大切です。  1本の跳躍に人生がかかっていると思ってしまうこともあるけれど、実はそんなことはない、ということもわかっていました。試合ではいつもそうですが、なるべく物事をシンプルにしていこうと心がけています。とにかくいいジャンプをすること。そのために観客からエネルギーをもらうこと、冷静でいること、です」 「ルーティンは決まっていません。その瞬間、瞬間にやりたいことをやっています。最もルーティンがないアスリートかもしれませんね(笑)。自分の体の状態を感じながら、流れに任せて感じることだけをやっている」

 和やかに進む記者会見だが、次の質問には意表をつかれた。というか、なぜこんな質問をするのか、意図がわからなかった。 <次回へつづく>

(「オリンピックPRESS」涌井健策(Number編集部) = 文)

関連記事: