〝公認カンニング〟で免許 「自分許せず」幼稚園教諭は仕事を辞めた
幼稚園教諭免許を得るために短期大に在籍した2年間、ほとんどの教科の単位認定試験で100点を取った。
勉強ができたからではない。
同級生もみな100点だった。
短大が認めた「カンニング」で免許を取得した女性は罪悪感に悩まされ、憧れていた保育の現場を離れた。
主な内容・元学生の後悔・告発の元教員に「報復」
・専門家の見解は
札幌市の20代女性が通っていたのは市内の専門学校だった。
系列の小田原短期大通信教育課程にも所属することで保育士資格と幼稚園教諭2種免許を取得できる。そこに魅力を感じ入学した。
だが、最初の試験から戸惑った。
夏と秋、単位取得のために行われる試験では、教科書に当たる「学習の手引き」を持ち込んでよいと告知された。
問題用紙には手引に記載された例題と同じ設問が並ぶ。手引の巻末には模範解答があり、書き写しができた。
「あなた方はできない子たち」――。そう言われているようだった。
違和感を抱いたが、自分だけ低い評価になるわけにはいかない。試験時間も模範解答を丸写しすることが前提のように短い。
学校の方針に一人あらがうことはできなかった。
「卒業生であることに胸張れない」
「カンニングしている気分だった。指示に従っているだけだったけど罪悪感があった」
保育士資格と幼稚園教諭2種免許を取得して卒業。北海道内の幼稚園に勤務した。
しかし、自分の力で免許を取ったとはどうしても思えない。結局、幼稚園は辞めた。
「書き写しで得た資格を使う自分を許せなかった」
ホテルで働くために今年1月から韓国語を勉強し、就職が決まった。
小田原短大の通信教育課程では模範解答の書き写しを認めた2020年度以降、数千人が幼稚園教諭免許を取得したとみられる。
女性は「知識が備わっていない人たちが働いている。自分の子供を預けると考えると本当に怖い」と話す。
「私はこの学校の卒業生であることに胸を張れない。免許を剥奪してほしい」
後輩たちが胸を張れる学校になるよう、「目を背けずに改善を」と願う。
告発後に待っていた報復
模範解答の書き写しは、ある教員の人生も狂わせた。
20年当時、…