一人じゃない デモ拡大の裏にカレンダーと「行きます!」ボタン
自民党が3分の2を超える議席を得た2月の衆院選後、改憲や戦争への反対を訴えるデモが全国で急速に広がっている。4月8日には全47都道府県の165カ所で呼びかけられ、憲法記念日の5月3日にも各地で計画される。
目立つのは、個人が「一人でも立つ」とデモを企画し、賛同者が集まってくるケースだ。急拡大の背景には、ウェブ上で各地の動きを可視化し、参加のハードルを低くする仕掛けがある。
4月19日午後2時過ぎ、日曜日のJR大阪駅前(大阪市北区)に主催者発表で約700人が集まった。
ビルの周囲の歩道上に立ち、大きなシュプレヒコールを上げるわけでもなく、「戦争反対」や「憲法改正やめろ」「高市やめろ」などと書かれたプラカードやペンライトを静かに掲げる。
1人で参加した20代の女性は「各地で戦争があり、子どもが殺されているのが悲しく、つらい。デモは立っているだけでもいいし、ここには同じ思いの人たちがいて心強い」と話した。
世界では戦火がやまない。米国とイスラエルは2月、イランを先制攻撃した。
日本では衆院選後、高市早苗首相が自民の党是である憲法改正を目指す姿勢を鮮明にする。4月の党大会では「時は来た」と強調。国家安全保障戦略など安保関連3文書の年内改定に向けた動きも加速させる。
こうした状況に対し、東京都千代田区の国会前などでは20~40代の有志でつくるグループ「WE WANT OUR FUTURE」(WWOF)が「平和憲法を守るための緊急アクション」と題したデモを定期的に開く。
市民団体「憲法9条を壊すな!実行委員会」との共催で、初回の2月27日の参加者は約3600人(主催者発表)だったが、4回目となった4月8日には約3万人(同)に膨らみ、国会前以外でも連動してデモが呼びかけられるようになった。
WWOFのメンバーでSNSで「eri」と名乗るデザイナーの女性(43)=東京都=は驚く。
「3月10日の2回目あたりから各地で連帯するデモが増え、4月は全都道府県に広がった。一体何が起きているんだろうと思った」
JR大阪駅周辺でも3月19日を皮切りに個人が呼びかけたデモが1カ月間で5回あった。
「できることなら東京まで行きたいけど、いろいろと難しいなーという状況の改憲反対 大阪、関西在住勢 いませんか?」
X(ツイッター)での、そんな投稿がきっかけだった。毎回、呼びかけ人は異なり、最大で約2000人が参加した。
3月29日のデモを企画した20代の会社員は、個人の呼びかけに多くの人が参集する背景に「デモカレンダー」(https://democalendar.jp/)と題したウェブサイトの存在を挙げる。「SNSを使わない人でもデモ情報にたどり着ける」
デモカレンダーのサイトには全国各地で企画されている改憲反対や戦争反対などのデモの予定がずらりと並ぶ。
Xで「Lucy」と名乗る福岡県内の女性(38)が制作・運営し、サイト内の「掲載依頼フォーム」を通じて届いたデモ予定の内容を人工知能(AI)などを使って確認し、掲載している。
きっかけは、自民が2012年に発表した憲法改正草案を、今年2月の衆院選時に読んだこと。人権保障の規定にも手が加えられ、「改憲されれば今までと違う日本になってしまう。戦争もできるようになるかもしれない」と危機感を持った。衆院選では自民が歴史的な大勝を収め、衝撃を受けた。
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