米サーベラス、中国系企業が持つ豪ダーウィン港のリース権買収計画

プライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社の米サーベラス・キャピタル・マネジメントは、中国企業ランドブリッジ・グループ(嵐橋集団)が所有するオーストラリアのダーウィン港のリース権買収を計画している。豪紙オーストラリアンが報じた。

  同紙は26日遅く、サーベラスが同港の99年間のリース権を、2015年にランドブリッジが支払った5億600万豪ドル(約470億円)を若干上回る価格で買い取る提案を準備中だと報じた。同紙が匿名の当局者を引用したところによると、ランドブリッジは10億豪ドル程度の売却価格を検討している可能性があるという。

  ニューヨークに本社を置くサーベラスは米トランプ政権とつながりがあり、共同創業者のスティーブン・ファインバーグ氏は3月に米国防副長官に任命された。オーストラリアン紙によると、サーベラスは26日にコメントを控えた。

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  15年にダーウィン港をランドブリッジに賃貸した決定は当時から議論を呼んでおり、当時のオバマ米大統領が懸念を表明していた。中道左派の豪労働党政権は最近数カ月間に、同港をオーストラリアの管理下に戻す動きを加速させており、アルバニージー首相は最近の選挙キャンペーンで、買い手が見つからない場合は国有化する可能性を表明した。

  ダーウィン港はオーストラリア最北端の港湾施設で、インドネシアや東南アジア南部に近い位置にある。同港は、オーストラリア北部に展開する米海兵隊部隊が駐留する軍事施設に隣接している。

  ダーウィン市選出の労働党議員、ルーク・ゴスリング氏は5月にブルームバーグに対し、ランドブリッジからリース権を購入する国際的な買い手候補がいることを示唆した。

  オーストラリアのランドブリッジの非執行取締役テリー・オコナー氏は27日ブルームバーグに対して、これまでのところ政府から「いかなるレベルでも提案や接触はない」とし「ダーウィン港では通常通り業務を継続し、事業拡大に注力している」と説明した。

  中国の肖千・駐オーストラリア大使は豪政府に対し、戦略的に重要なダーウィン港のリース契約を巡り慎重な対応を求めた。

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  港湾は米中貿易戦争の新たな戦場となっている。この対立に巻き込まれている人物の1人が、香港の富豪李嘉誠氏で、同氏は米投資会社ブラックロックが支援するグループに、パナマ運河の戦略的拠点を含む世界の43の港湾を現金190億ドル(約2兆7200億円)超で売却する計画を進めている。

  しかし、同氏の複合企業、長江和気実(CKハチソン・ホールディングス)は取引に関する最終合意を4月2日までに締結する目標を達成できなかった。

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原題:Cerberus Eyes Chinese-Owned Darwin Port, The Australian Says (1)(抜粋)

(最終2段落を追加します。更新前の記事で見出しと本文の社名を訂正済みです)

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