「おこりんぼ」-世代を超えた舌戦勃発…ハジャーがアロンソに反撃、シンガポールGPでのバトルを巡り

ベテランと新鋭が激しい舌戦を繰り広げた。エンジントラブルを抱えながらも譲らなかった21歳に、F1レジェンドは「不必要なリスク」と苦言を呈した。

2025年F1第18戦シンガポールGPで繰り広げられたバトルを巡り、フェルナンド・アロンソとアイザック・ハジャーの間で軽い火花が散った。2度のF1ワールドチャンピオンが若手のディフェンスを批判したのに対し、F1デビューイヤーを戦う21歳のフレンチマンは、44歳のレジェンドに「おこりんぼ」と切り返した。

マリーナベイでの2度の攻防

アロンソは、レース中にハジャーを2度オーバーテイクする必要に迫られた。1度目は3周目、8番手を争うヘアピンで、アロンソがインを突いて抜き去った。

問題となったのは2度目のバトルだ。37周目、エンジントラブルを抱えたハジャーは、ターン3での加速に苦しんでいた。それでも簡単には道を譲らず、アロンソは2周にわたって前進を阻まれた。失われた時間は約5秒——レース結果を左右しかねないロスだった。

追い抜きざまにアロンソは無線で「今日のヒーローにトロフィーを!」と叫んだが、これが自らのオーバーテイクを称賛する言葉だったのか、それともハジャーのアグレッシブなディフェンスを皮肉ったものだったのかは、判然としなかった。

Courtesy Of Red Bull Content Pool

ポジションを争うフェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)とアイザック・ハジャー(レーシング・ブルズ)、2025年10月5日(日) F1シンガポールGP決勝(マリーナベイ市街地コース)

英専門誌『Autosport』によるとレース後、ハジャーはメディアの前で毅然とした態度を見せた。その発言は、若手らしい率直さと、わずかな挑発を含んでいた。

「僕は彼をコースオフに追いやったりしていない。クリーンに戦った。もしあのバトルが気に入らなかったのなら、彼は本当に”おこりんぼ”ってことであって、僕にできることは何もないよ」

アロンソの反撃—「不必要なリスク」

一方、アロンソは冷静さを取り戻した後も、批判を撤回しなかった。「彼はエンジンに少し問題を抱えていたようだ。ストレートで遅かった」と状況を分析したうえで、こう続けた。

「時には、戦うべき時と戦わないべき時を知る必要がある。あのバトルは、双方にとって——特に彼にとってレースの最終結果を悪化させる可能性があったからね。不必要なリスクだったと思う」

ただし、経験豊富なアロンソは理解も示した。「シンガポールだから、激しく戦う必要があるのは分かる。彼はベストを尽くした。ただ、僕らは確実にタイムをロスした」

また、ハジャーの「おこりんぼ」発言については気に留めず、「時速300kmでのバトルとしては、ここシンガポールでやるには少し際どいものもあった。でも、誰もが自分の好きなように戦うものだし、接触もなかった。何も問題ない」と語った。

そのうえで、クルマの競争力に対してポイントが伴っていないレーシング・ブルズの現状に言及し、リスクマネジメントや判断力の未熟さを暗に指摘した。

「彼らにはかなり速いマシンがあるのに、ポイントはそれほど取っていない。つまり、それは彼ら自身の問題ってことだ」

2025年F1第18戦シンガポールGP決勝レースは、ジョージ・ラッセル(メルセデス)がポール・トゥ・ウインを飾り、2位にマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、3位にランド・ノリス(マクラーレン)が続く結果となった。

サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)を舞台とする次戦アメリカGPは10月17日のフリー走行1で幕を開ける。

F1シンガポールGP特集

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