無罪破棄で韓国左派に衝撃、李在明氏「私が考えたものと全く違う方向の判決だ」…追い風一転「逆風」の恐れ
【ソウル=仲川高志】韓国の左派系最大野党「共に民主党」大統領候補の 李在明(イジェミョン) 前代表(60)の公職選挙法違反事件で韓国大法院(最高裁)が1日、違法性を認める上告審判決を出したことを受け、左派陣営には衝撃が走った。保守系与党の「国民の力」は勢いづいており、中道・保守系の大統領候補一本化を模索する見通しだ。
「私が考えたものと全く違う方向の判決だ」
李在明氏は1日、ソウルで記者団に判決についてこう述べ、不服そうな表情を見せた。
共に民主党は判決を受けて、国会で緊急議員総会を開いた。 朴賛大(パクチャンデ) 院内代表は議員総会で、「到底理解できない拙速な判決であり、怒りを禁じ得ない」と大法院を強く批判した。
同党がいらだちを強めるのは、4月の 尹錫悦(ユンソンニョル) 前大統領の 罷免(ひめん) で広がった大統領選での李在明氏への追い風ムードが逆風に転じかねないとみているためだ。
大法院は1日の判決で李在明氏の発言が虚偽事実の公表にあたると違法性を認定し、有罪が妥当との判断を示した。大統領選前に判決が確定して出馬資格を失う可能性は低いが、今回の事件を含めて5件の刑事裁判を抱える李在明氏の「司法リスク」に再び焦点が当たるのは確実だ。
一方、国民の力は、大法院の判決を歓迎した。 権寧世(クォンヨンセ) 非常対策委員長は記者会見で「真実を明らかにした裁判所の決断に深い敬意を表する」と述べた。大統領選の予備選に出馬している 金文洙(キムムンス) 前雇用労働相(73)は「李在明候補に良心があるなら、大統領候補を辞退しなければならない」とするコメントを発表した。
国民の力の予備選は金文洙氏と 韓東勲(ハンドンフン) 前代表(52)が公認候補の座を争っている。同党の公認候補は3日の党大会で選ばれる予定だ。
だが、現時点で両候補への支持は低迷している。韓国ギャラップが4月25日に発表した最新の世論調査では、トップの李在明氏が38%だったのに対し、韓東勲氏が8%、金文洙氏が6%にとどまった。
保守陣営で期待が高まるのは2日にも大統領選出馬を表明するとみられる 韓悳洙(ハンドクス) 首相(75)、保守系野党「改革新党」の 李俊錫(イジュンソク) 議員(40)らと国民の力の間で候補の一本化を図るシナリオだ。
中道・無党派層には「アンチ李在明」が少なくないとされ、保守陣営は統一候補を立てることができれば勝機はあると踏んでいる。大統領選の候補者登録が行われる10~11日頃まで一本化を模索する方針だ。