香港に超大型台風、ホテル予約迫られるトレーダーも-悪天候でも取引
アジア有数の金融センター、香港に超大型の台風18号が接近し、現地のバンカーやトレーダーは在宅勤務を余儀なくされたり、オフィス近くのホテルを予約したりするなど対応に追われている。
ゴールドマン・サックス・グループやモルガン・スタンレー、HSBCホールディングスなど金融大手は、台風18号による暴風雨が24日午前に襲う前に大半の社員に対し在宅勤務を指示した。
香港取引所は昨年、悪天候でも取引を行うために制度の見直しに踏み切っており、今回の台風はこれまでで最大の試金石となる。
香港天文台はハリケーン級の強風を示す最高レベルの警報「シグナル10」を発令。この警報は「しばらく」維持される見通しだ。
市場が開いている以上、各社は一部のスタッフを現場に配置し、注文の執行や価格設定を担う必要がある。長時間の通勤を避けるため、中心部にあるホテルの宿泊需要が急速に伸びている。
ブルームバーグ・ニュースが23日に確認したところ、HSBCの香港本店の向かいにある高級ホテル、マンダリン・オリエンタルはほぼ満室だった。フォーシーズンズやショッピングモール「パシフィックプレイス」に隣接するホテルも予約が埋まりつつあった。
オフィスで仕事をする必要があるバンカーやトレーダーが24日早朝に目の当たりにしたのは、ほぼ人通りのない街並みだった。政府オフィスは閉鎖され、学校も休校。航空便の発着は23日午後6時から36時間停止となった。
証券会社の活動は23日にシグナル8が発令された段階で一部制限されていた。台風18号は、2018年に保険金請求などを含め、約46億香港ドル(現在のレートで約870億円)の経済損失をもたらした台風22号以来、最も危険な台風となる恐れがある。
高裕証券のエグゼクティブディレクター、トーマス・イップ氏は23日、「今オフィスにいるのは私とトレーダー1人、IT担当の1人だけだ」と説明。顧客は台風の前にポジションをクローズしていたとし、「今回は台風22号を上回る被害になるとの予報も出ており、嵐が過ぎ去るまで動かないという感じだ。今日と明日は様子見、26日に改めて参入するという人が多い」と話した。
原題:Hong Kong Bankers Pack Mandarin Oriental for Typhoon Trading (1)(抜粋)
— 取材協力 Charlotte Yang and Cathy Chan