中国、WTOでの「途上国」優遇放棄-トランプ氏との争点解消へ
中国は世界貿易機関(WTO)で途上国としての特別な待遇を放棄すると表明した。トランプ米大統領は、中国が世界第2位の経済規模でありながら途上国の地位を主張し続けていることに批判的で、WTO改革を妨げていた争点の一つが取り除かれることになる。
中国の李強首相は23日にニューヨークで、現行および今後のWTO交渉において、「新たに特別かつ異なる」待遇(S&D)を求めないと発表した。国営の新華社通信による報道とWTO事務局長によるX(旧ツイッター)への投稿で明らかになった。現在、李首相は国連総会に出席するため米国を訪問している。
WTOのオコンジョイウェアラ事務局長はXで「長年の努力の集大成であり、中国のリーダーシップを称賛したい」と述べた。
今回の決定は、関税交渉で合意を目指す中国がトランプ氏の歓心を買うことを狙っている可能性がある。
トランプ氏はかねてより中国の途上国地位に批判的で、大統領1期目には「米国は中国の途上国地位の主張を受け入れたことは一度もない。ほとんど全ての経済指標が中国の主張の偽りを示している」と主張していた。
WTOで途上国の地位は各加盟国が自ら宣言でき、合意の履行に向けた猶予期間の延長など優遇を受けることができる。中国は長年、自国を世界最大の発展途上国と位置づけ、他の途上国を代表していると主張してきた。
中国は世界最大の貿易国でありかつ製造国だが、国連は依然として発展途上国に分類している。国際通貨基金(IMF)のデータによれば、中国は1人当たり国内総生産(GDP)で世界の上位50カ国に入っていない。セルビアを下回り、モンテネグロやトルクメニスタンをわずかに上回る水準だ。
アジア・ソサエティー政策研究所上級副所長で米国の元通商交渉官であるウェンディ・カトラー氏は、中国の決定について遅すぎると指摘。「発表は喜ばしいことだが、WTOに現在、交渉アジェンダが存在せず、改革の進展も遅い中では実質的な影響はほとんどないだろう」と述べた。
中国商務省は声明で、今回の判断について「多国間貿易体制を維持・強化する重要な措置」であり、「主要な発展途上国としての中国の役割」を際立たせると強調。中国が近年、世界情勢の改革に向けて打ち出した「グローバル発展イニシアチブ」および「グローバルガバナンスイニシアチブ」を実行するための「重要な行動だ」とした。
今回の発表について、米通商代表部(USTR)およびホワイトハウスからはコメントが得られていない。
Sharing major news key to WTO reform! Premier Li Qiang of China has just announced that China will no longer have access to Special and Differential Treatment in new WTO Agreements. This announcement was made at a meeting convened by China on its Global Development Initiative on… pic.twitter.com/y0IT3exgaL
— Ngozi Okonjo-Iweala (@NOIweala) September 23, 2025
原題:China to Stop Claiming Special WTO Benefits That Rankled US (2)(抜粋)
— 取材協力 James Mayger and Yinka Ibukun