日本株はもう割高?「PER」のホントの使い方
10月最終週となった今週の株式市場ですが、週初の27日(月)の取引で、日経平均株価がついに5万円台に乗せました。
2025年の日経平均は4月7日に底打ちして以降、急ピッチな株価上昇ペースを続けてきましたが、底打ちした4月7日の終値が3万1,136円、そして10月27日の終値が5万0,512円ですので、わずか半年ほどの間に1万9,000円以上も上昇したことになります。
こうした足元の状況を受けて、今後の日経平均の先行きに対して「まだまだ上昇できる」という強気な見方と、「さすがに上げ過ぎでは」という慎重な見方で意見が交わされていますが、後者の見方をとる理由の一つとして、「株価収益率(PER)が高水準で、割高感がある」という点が挙げられます。
実際に、27日(月)時点における国内株市場のPERを見ると、以下のようになっています。
2025年10月27日時点の国内株市場のPERの状況
項目名 前期基準 予想 日経平均225銘柄 18.05倍 19.28倍 東証プライム市場 17.65倍 18.50倍 東証スタンダード市場 16.67倍 15.55倍 東証グロース市場 145.31倍 37.93倍 出所:日本経済新聞掲載データを基に作成上の表で日経平均に注目すると、前期基準で18.05倍、予想ベースで19.28倍となっています。
「そもそも、PERの前期基準とか予想ベースって何?」という疑問を持たれる方もいるかもしれませんが、その説明は後ほど行います。まずは予想ベースのPERの推移を時系列のグラフで確認してみたいと思います。
<図1>日経平均とPER(予想ベース)の推移(2025年10月27日時点)
上の図1でも分かる通り、PERが株価に併走する格好で上昇しているほか、直近で最も高かった2024年5月の17.74倍を大きく上回っているため、確かに、過去の推移と比べると割高という判断もできそうです。
では、「PERから見た日経平均は本当に割高なのか?」を判断するにあたって、意外に「知っていそうで知らない」PERの見方について整理したいと思います。
PERは株価を企業の「稼ぐチカラ」で測る指標
PERの基本的な概要については、以前のコラムでも触れていますが、一言でPERを説明すると、「企業の稼ぐチカラと株価を比べたもの」です。
2025年2月19日:PERとPBRの目安は何倍?「稼ぐ力」と「割安水準」で銘柄選び
株価はその時々のムードや景気の影響を受けて推移しますが、理屈の上では「企業の価値が反映されたもの」です。そして、その企業の価値は、「資産価値」と「事業価値(稼ぐチカラ)」の二つに大きく分けられます。
従って、事業価値から見た株価の割高度を示すのがPER、資産価値から見たものが株価純資産倍率(PBR)です。
また、PERとPBRの値は簡単な割り算で求めることができます。
<PERの計算式> 株価÷1株当たり純利益
※もしくは、時価総額÷純利益
<PBRの計算式> 株価÷1株当たり純資産
※もしくは、時価総額÷純資産
なお、PER・PBRともに単位が「倍」で表されます。また、PER・PBRの数値が変化する要因は、株価の上下と1株当たりの純利益・純資産の増減です。
これに加えて、企業の稼ぐチカラの効率性を示す自己資本利益率(ROE)との関係をまとめたものが下の図2になりますが、PERとPBR、そしてROEは3点セットで理解すると良いでしょう。
<図2>PER、PBR、ROEの関係
出所:筆者作成
ここで再び話をPERに戻しますが、稼ぐチカラは企業や業種によってさまざまです。そのため、銘柄ごとにPERの値もバラバラです。
そのため、PERには明確な基準がなく、今のPERの水準が過去の推移や同業他社と比べてどうなのかといった具合に相対的に判断する必要があります。
また、稼ぐチカラが強ければPERの値が高くなる傾向があります。
例えば、東証グロース市場などの新興株市場にはPERが100倍を超える銘柄が多く存在しています。新興株市場の銘柄は会社の規模が大きくなくても、育ち盛りの途中で利益が毎年倍以上、もしくはそれ以上のペースで成長する企業も珍しくありません。
よって、高いPERは割高というよりも成長期待の大きさが反映されている側面があり、足元で相場をけん引しているAI関連銘柄のPERが高いのも同様の理由す。
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