大きな意味を持つ、角田裕毅の6位入賞。”解き放たれた”アゼルバイジャンGPは「自分自身の成長の証」(motorsport.com 日本版)

 レッドブルの角田裕毅は、アゼルバイジャンGPの決勝レースで6位入賞。前戦イタリアGP後に「何かを解き放つことができた」ことが、好パフォーマンスを発揮する鍵だったと語った。 【F1ハイライト】角田裕毅、昇格後最上位6位! F12025第17戦 カタール航空・アゼルバイジャンGP 決勝  角田はアゼルバイジャンGPの予選と決勝でいずれも6位に入り、レッドブル・レーシング昇格後最高位となる成績を残した。  今季日本GPからレッドブルに加入した角田は、前任のリアム・ローソンと同様にRB21の扱いに苦労し、ここまでにポイントを獲得できたのは僅か5戦のみ。アゼルバイジャンGPでのポイントを加えても、ランキング17番手に沈んでいる。  これとは対照的に、チームメイトのマックス・フェルスタッペンは4勝を挙げ、ランキング3番手につけている。  ただ、角田の状態が上向いているのも事実。これは、新たにチーム代表に就任したローレン・メキーズが、チームの技術的なアプローチを変更したこととも、大きく関係しているようだ。  メキーズ代表は、シミュレーションだけでなくドライバーからのフィードバックも重視するようになった。その結果、フェルスタッペンはイタリアGPで、自身が望んでいたようなセットアップを実装して完勝。角田もイタリアGP後にシミュレーターに乗り、新たな発見をしたとされる。 「間違いなく何かが解き放たれた」  そう角田は語った。 「このアプローチを始めたばかりなので、もちろんマックスがやっているようなレベルには到達できていません。でも、一歩一歩着実に進めてきました。これまでのレースでは、そういう進歩はなかったと思います」 「間違いなくポジティブな結果です。それに数週間かけて努力を積み重ねてきたことで、自分自身の成長の証でもあると思っています。シミュレータでの作業を増やしたり、そういう努力が少し報われていると思います。今やっていることを続けるだけです」  角田はロングランペースの向上を特に強調した。レッドブル加入後6度のQ3進出を果たすなど予選ではまずまずの強さを発揮してきたが、レースペースでは苦戦することが多かった。そのレースペースの面での成長が、今回見られたという。  この成長はメキーズの目に確かに留まった。特にレース終盤、マクラーレンのランド・ノリスを抑え込んだ走りに感銘を受けたという。 「今年我々とのレースで最高の走りだったと思う」  メキーズはそう語った。 「予選でも強さを見せたが、レースではさらに際立っていた。計算が得意な連中が正確な数字を出すだろうが、ユウキはマックスから0.2秒差の時もあれば、0.3秒差、0.4秒差の時もあったが0.4秒差まで広がったことは稀だった。しかもマックスはそのペースで他を圧倒していた。つまり非常に、非常に優れたペースだったのだ」 「マクラーレンとフェラーリに対しては、マックスが優勝を狙うのを助けるためにも、非常に厳しい防御を強いられるだろうと考えていたが、実際には防御する必要はなかった」 「彼は実力でその位置にいた。ランドは彼の後ろに留まり、あまりプレッシャーをかけられなかった。だからこれは彼のベストだ。結果だけでなく、我々とのレースペースにおいてもね」  アゼルバイジャンGPは来季レッドブル残留に向けた角田の可能性を示すものとなった。週末が順調に進み、中団の混乱に巻き込まれなかった際に彼が何ができるかを証明したからだ。  これはまさにメキーズが求めていたものだ。彼は以前、イタリアGPでフロアにダメージを受け、ノーポイントに終わった角田を、2026年シーズンに向けて評価するには「クリーンなサンプル」が必要だと述べていた。 「おそらく我々にとって最も重要だったのは、そうしたクリーンなサンプルを得ることだった」とメキーズは付け加え、夏休み前のハンガリーGPで角田が17位に終わったときのことを例に挙げた。 「だから彼のことを本当に嬉しく思う。彼は非常に懸命に努力している。決して努力を怠ったことはない。ブダペストでの厳しいレース後、彼は休暇を取らずにすぐにシミュレーターに向かった。『いや、チームとシミュレーターに戻って翌日も作業する』と言ったんだ」 「それが彼の姿勢だ。レースのない週末は常に、エンジニアと作業するかドライビングを磨いている。彼が成長を見せていることを、私は心から喜んでいる」  レッドブルは10月末までにフェルスタッペンの来季チームメイトを発表する方針で、オランダGPでの表彰台獲得後、レーシングブルズのアイザック・ハジャーが昇格の最有力候補となっている。  しかし彼の昇格はまだ確定していない。角田がバクーで得た自信が2025年シーズン終盤の強さにつながり、レッドブル加入前の好調な状態を取り戻す可能性もあるからだ。 「ユウキが追い上げを続けているのは良い知らせだ」とメキーズは語った。 「彼はそれに値する。我々がこの件について余裕を見せているのは、時間があるからだ。急ぐ必要などない。ドライバーのスピードは消えないし、成長は続くのだから」 「ここはまさに自信が全てを左右する世界だ。今週末のユウキの自信は間違いなく高かった。彼は非常に、非常に、非常に、非常に強く走った。だから我々にはまだ時間がある。言った通り、アブダビまで待つつもりはないが、確実にあと数レースは残っている」

Ed Hardy

motorsport.com 日本版
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