高市政権が総点検「租税特別措置」Q&A 企業向けはガソリン減税や高校無償化財源に期待
高市早苗政権が租税特別措置(租特)の総点検に乗り出す。このうち企業向けはガソリン減税や高校授業料無償化の財源として期待されている。具体的な内容や課題をQ&Aでまとめた。
Q 租特とは
A 特定の政策目的を達成するために講じられる税制上の優遇措置。法人税率の特例や税額控除、特別償却、準備金などの形態がある。法律に基づき税制の公平原則や中立原則の例外に位置づけられている。
Q 租特にはどんなものがあるのか
A 代表的なのは、研究開発税制と賃上げ促進税制だ。このうち研究開発税制の恩恵を受けるのは1万社程度。適用額の約9割が大企業、業種別では約8割が製造業に集中している。
Q 租特による法人税の減収規模は
A この数年は拡大傾向が続く。政府は令和5年度の減収額を2兆8990億円程度と試算している。研究開発税制だけで約9479億円に上る。
Q 課題は
A 期限付きで導入されたはずが、政策効果が検証されないまま延長が繰り返され、既得権益化しているなどの批判がある。政府税制調査会は5年6月の答申で「本当に目的にかなう効果的かつ効率的なものであるのか、不断の点検を行うことを制度の中に組み込む必要がある」と指摘している。
Q 新政権の取り組みは
A 自民党と日本維新の会の連立政権合意書には、租特と高額補助金を見直し、「政策効果の低いものは廃止する」と盛り込まれた。片山さつき財務相が責任者を務める。(林利昭)